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第百二十六回 災害対策‐その2:消防
2004年2月15日、たった一日で2つの大きな火災事故がありました。1つは吉林省吉林市の火災で、倉庫管理人のタバコのポイ捨てが引火し、54人が死亡しました。もう1つは、浙江省海寧市で起きた宗教行事中の火の不始末による火災で、40人が死亡しました。
公安部が公表した数字によると、2002年1月〜10月の"火災四項数字"(発生件数・死亡・負傷・直接的経済損失)は、昨年と比べやや減少しているものの、死者が10人以上の大規模火災は大幅に増加しています。1998年9月に施行された現行消防法には、火 災の予防・消防組織・消化救援、法律責任など詳しい規定があるにはあるのですが、 如何せん、行政や一般庶民への浸透度はまだまだで、組織や設備の整備が焦眉の急になっています。
例えば、蘭州市の調査によると、同市は、国の規定に則れば2360箇所の道路消火栓が必要ですが、実際には689箇所と72%も不足し、消防署も31箇所あるべきところが8箇所、消防自動車は155台に程遠い僅か45台という有様で、更に高層ビルの70%が防災基 準を満たしていません。極めつけは、河南省洛陽市汝陽県で起きた事件で、本来、3台あるべき消防車が1台しかなく、火災発生当時それも修理中で、住民の119番に対し言を左右にして曖昧な対応を繰り返し、遂に家屋が全焼してしまいました。この件では行政側が訴えられ、敗訴しています。(2003.7.2人民日報)
最近の火災の主な発生原因は、電気関係・不注意・放火などで、発生場所としては、家庭・大衆の集まる場所(特に"六小"と呼ばれる小規模な旅館・レストラン・商店・ カラオケ・バ−・ヘアサロン)・中小企業などがあげられます。急速に普及した家電 の不適切な使用や管理の悪さ、安全性を無視した建物の不法な増改築、台頭著しい民間中小企業の危険物の安易な取り扱いと防災設備の貧弱さが火災に繋がっているとのことです。
こういった状況を改善すべく、政府は、ここ3年、公安消防部隊の拡充に力を入れ、都市部の高層ビル火災に対応するはしご車などの配置にも力を入れていますが、広大な 農村はもとより、都市部でも、一般住民( "社区"「地域社会」)の協力が不可欠と、地方毎に独自の条例(雲南省消防条例、重慶市消防条例など)を整備し、"志願消防隊 "・ "義務消防隊"と呼ばれる、住民による自主消防隊の整備を急いでいます