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第百二十七回 税制改革-その1:分税制
中国国家税務総局は2004年元旦に、関税と農業税を除いた2003年の国全体の税収が 2兆元の大台を突破し、前年比20.3%増の2兆450億元に達したことを明らかにしました。1992年に3000億元を突破、94年には5000億元を超え、99年に初めて1兆元に達した 税収でしたが、2003年はたった1年で3446億元も増加したのです。サ−ズの襲来にも負けず力強い発展を続けた経済を背景に、税制の改革、徴税方法や納税環境の改善を積 極的に行った成果と言えましょう。
中国の税制改革を論ずるには、まず分税制の改革に触れないわけには行きません。1994年、中国政府は税務機構を国税局と地方税務局に分けるなど、経済発展に対応した税制の整備に着手しましたが、中西部地区など、発展が遅れている地域への援助はなお不十分で、東部地区との財政格差は一層拡大し、国民に対する公共サ−ビスの均 等性が大きく揺らぎました。また、省レベルで中央からの交付金を下部へ回さずに留保するなどの行為が、末端レベルの財政を困窮させる原因になりました。
このため、これらの地域が地域として組織の簡素化、人員の削減に取り組む一方で、 中央政府も賃金補助交付金を支給、"税費改革"(むやみな費用徴収の是正)による地 方政府の収入減を援助し、更に所得税の分配方式の改革にも着手しました。2002年、 国務院は、それまで企業の隷属関係によって所得税を分配していた方法を中央と地方 が一定の比率に応じて分配するように改め、その増収分を地方交付金に回すことに決めました。
分税制の改革によって、中央政府の財政収入が全国の財政収入に占める割合は、1993 年の22%から2002年には55%に上昇しました。このことは、政府の経済に対するマクロコントロ−ル機能を強化し、後進地域への援助の強化にも繋がりました。税収の確保と増加は、最大の課題です。1993年、政府は<税収徴収管理法>を実施し、95年の若干の手直しを経て2001年5月に新<税収徴収管理法>を、翌2002年10月15日には同法の<実施細則>を相継いで施行し、更に関連規則も整備し、財政収入の 90%以上を占める税収をしっかり確保すべく、いわゆる<金税工程>を推進しまし た。この面で2003年以降どんな工夫、新しい政策、個別の税の改革があったかについてはまた次回に。