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第百二十八回 税制改革-その2:金税工程
<金税工程>とは、国家税務総局が作った税収情報管理システムプロジェクトの総称で、コンピュ−タで全国の税務機関をつなぎ、情報を共有して効果的な税制と税の徴収システムを作動させ、監督管理を確実に実行しようというものです。
政府が今特に力を入れているのは個人所得税対策。最近の趨勢は個人所得税が税収の 主要部分を占め始めていますが、現行税制は、サラリ−マンには累進課税が適用されても私企業経営者には適用されず、富の偏在を助長しがちです。高額所得者には所得 税と遺産相続税で適正に対処し、低額所得者には、社会保障税を財源とした保障システムの整備や課税最低限度の引き上げなどを検討、部分的に実行し始めています。2004年から南京市が月額400元を基準に控除額800元を上乗せし、実質課税ラインを1000元から1200元に引き上げたのもその1例です(ほとんどの納税者は800〜1500元に 集中)。また、企業所得税の改革も重要で、地域や業種間の不公平を正すことは当面 の緊急課題になっていますし、内資企業と外資企業の所得税の一本化も大きなテ−マです。
税の徴収精度の向上も一方の重要課題です。2004年から北京では、税金未納者や未納組織の責任者は市から出ることを認めない、という方針を打ち出しました。その一方で、北京市地方税務局は<納税信用等級評価システム>を打ち出し、2003年10月には 最初の納税信用A級企業として中国國際航空など87社を認定、これらの企業とは緊密な協力関係を構築し、納税手続きなどで様々な優遇を与えることを発表しました。
企業に対する税務検査の簡素化も進んでいます。税務署側が自分の都合で勝手に検査 に出向き、罪人を取り調べるかのごとき横柄な態度で企業に対していたこれまでのやり方を改め、検査前にはしかるべき手順を踏んで対象企業の納税状況を調査し、内容の程度によっては、"函告"「書面通告」や"約談"「面談」で済まそう、というものです。また、税務登記部門、増値税管理部門、輸出還付部門が個別に同一企業から情報 を集める非効率かつ迷惑なやり方の改善の声も上がっています。
最新のCTAIS(中国税収徴収管理システム)の導入が、従来の不透明、不公正な 税の徴収を根絶する切り札になるか、<金税工程>の行方が注目されます。