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第十三回 黒幕をたたけ!
犯罪の背後に役人あり。今、中国では役人がらみの犯罪が多発。地位と特権を利用して"関係網" (利権構造)を構築し、"保護傘"(黒幕)になり、旨い汁を吸うのです。
山西省のある市では、裏社会を牛耳るボスに金と女で篭絡された元組織部長が逮捕されましたし、四川省でも、50名の犯罪グル−プを逮捕したところ、その背後に、やはり金や色仕掛に目がくらんだ県の常務委員、刑事警察大隊長、紀律検査委員会書記がいて、一味と結託していたそうです。これらがほんの氷山の一角であることは誰も疑わないでしょう。
公金横領は日常茶飯事。生態建設に名を借りてうその植林報告をして費用を着服したり、貧困家庭援助金や三峡ダム移住事業費をごまかしたりと、その悪質ぶりもなかなかのもの。武漢市のある幹部は、国有企業をリストラされた夫婦が苦労して開いた居酒屋を食い物にして、なんと、2年間で12万元を踏み倒したそうです。
このような官僚の深刻な腐敗に対し高まる庶民の批判に、政府も綱紀粛正に躍起になっています。陝西省西安では、この9月から全市795の行政事業関係の2353もの銀行口座が調査を受け、そのうち、なんと1115口座が廃止させられたそうです。また、同省のある県では、家族の協力も必要と、“清廉内助功労者”を選出、夫の職務に関わる賄賂などを受け取らなかった10名の妻を表彰しました。
幹部が現職を離れる時には離任審査を行い、在任中に不正が無かったかチェックする動きも広まっています。更に、幹部のアフタ−5の行動の監督も検討されています。
また、受け取らざるを得なかったり返却不可能になった、金銭や有価証券による謝礼の処理法として、"581"(我不要"「私は要らない」の語呂合わせ)ナンバ−の<クリ−ン講座>を設けて振り込ませる方法も注目を集めていますし、浙江省からは、なんと県の役人たちを監獄に呼び、汚職で服役中の元役人を反面教師にしたてて"廉政教育課"を講義させた、という事例も報告されています。
国有企業のリストラや農業の産業化などの中で、一時的に職を失いつつも、改革の必要性を理解して必死に頑張っている庶民を裏切らないよう、官僚の自覚が求められます。