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 第百三十一回 留学ブ−ムの内情

 改革開放以来2003年までの海外留学者数は合計約70万人、現留学者は52万7400人に上ります。当初はそのまま居つく者が多かったのですが、母国の発展にチャンスを見 出して帰国する者が年々増加、既に17万2800人が帰国し、2003年は前年比13%増にもなりました。質の高い人材が渇望される今日、政府も留学生の帰国起業を積極的に後 押しし、留学生向け起業パ−クは全国70箇所(国レベル21箇所)、留学生起業数は既に5000社余りに達し、人事部は累計2億元を投じ、5000名の帰国者に科学研究補助を与えました。
こういった背景の下、2003年には11万7300人が留学しましたが、うち私費留学生は全 体の93%にも達しました。2003年に英、仏、豪三国と締結された高等教育学歴の相互 認定制度や同年9月施行の<中外協同学校経営条例>も効果を挙げたと言えましょう。
しかし、このようなブ−ムの最中、2004年2月18日付人民日報はこれに冷水を浴びせる ような"南極星事件" を大きく報じました。仲介業者の紹介で南アフリカの南極星國際 英語学校に留学した120名の中国人留学生に対し、校長が「個人で携帯するのは無用 心」と金を預かり、それを自分の農場の購入費に当てて焦げ付かせ、挙句の果てに交通事故死したというもので、後になって、学校自体ももぐりであったことが判明しました。
私費留学には多くの仲介業者がいますが、純然たるもぐりの他に、資格を取得した後、この資格をもぐり業者に又貸ししている例も少なくありません。そこで政府はネット上のヤミ業者に対する注意を喚起するとともに、同年2月に270社の公認私費留学仲介機構法定代表者を、<教育渉外監督情報ネット(www.jsj.edu.cn)>を通じて公表しました。
私費留学で目に付くのが留学生の若年化。既に私費留学生の過半数が少年で占められています。しかし、きちんとした基礎教育を受けていない、身近に保護者がいないこ とによる不測の事故や挫折も多く、その是非が論じられています。政府は2003年を私 費留学<正常化の年>、2004年を私費留学<品質向上の年>と位置づけていますが、 留学すれば箔が付いた時代から、留学内容によっては "海亀「カメ」(=海帰)"が "海帯「コンブ」(=海待)"(つまり、留学帰国者の就職難)になってしまうと言わ れる昨今、留学にも綿密な計画性が求められるようになっています。

三瀦先生のコラム