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第百三十四回 上下水道の整備
2001年12月3日のこの欄でも紹介した中国全体の水不足は益々深刻化しています が、北京オリンピックを控え、今、北京などの大都市では、上下水道の整備が緊急の課題として浮上しています。
中国の一人当たり水資源量は2200立方メ−トルで世界平均の4分の一ですが、水供給量の8割を占める地上水のうち4割以上が工業汚染・化学肥料汚染・人や家畜の糞便汚染などにより飲み水に使えなくなり、特に都市部の河川の汚染率は90%以上にも達して、水不足に一層拍車をかけています。
その一方で汚水の排出量は年間400億立方メ−トルに上り、2030年には全国汚水放出量は850〜1060億トンに達すると推定されています。ところが汚水の処理能力は、2002年の統計によると、都市部でも僅か7%あまり。2003年、首都北京の汚水処理能力 は1日280万トンに対し128万トン(42%)と、先進国の90%以上にはまだ遠く及びません。
現在、全国400都市の水の不足量は60億立方メ−トル以上といわれますが、仮に生活 汚水の再利用率を30%まで持っていくと、その60億立方メ−トルをそっくり補うこ とが出来ます。また、先進国の工業用水再利用率は70%以上ですが、中国は20〜30%と、有効利用には程遠い状況です。
政府は1999年8月に修訂<都市下水道汚水排出水質基準>を実施して管理を強化する一方、2002年8月の第9期全人代29回会議で修訂<中華人民共和国水法>を採択し、節水・汚染防止型社会の建設を目標に掲げました。進行中の第10次5ヵ年計画では水汚染 対策費700億元の大半を汚水処理場建設に投入しており、北京では2003年に住民の水道 代を1立方メ−トル2.90元(汚水処理費0.60元)に値上げし、2005年までに新たに6つの処理場を作る計画です。
飲み水の面では、北京市水道集団が「2004年に3.15億元を投入、オリンピックに向け水道管、水道施設を充実する」との方針を掲げ、上海市は「2010年に水道水の質をアメリカのEPA、EUの基準並みにする」と宣言していますが、2002年〜2005年までに 1兆元の資金が必要とされる"水務市場"を目当てに、企業の進出が続々と始まっています。