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 第百三十六回 中仏関係


2003年10月、フランスで<中国文化年>が開幕しました。2004年7月まで続くこの催しは中国文化のあらゆる分野(音楽、演劇、映画、絵画、工芸、各種文化財、書籍、 切手、武術、囲碁、科学技術、高等教育、ファッションなど)を紹介しようというも の。一方、2004年秋から2005年7月までは、中国で<フランス文化年>が開催される予定で、3年間にわたりこのように大規模な文化交流を行うのは、中国にとっても初め てのことです。
 1964年1月、当時のドゴ−ル大統領と毛沢東主席の下で中仏両国は国交を樹立、70年代には中仏関係は順調に推移し、経済交流も活発化したのですが、ミッテラン大統領時代の1991年、フランスが台湾に6隻の護衛艦を、更に翌年は戦闘機の売却を行 ったため、両国関係は一気に険悪化し、中国は、広州の地下鉄工事・大亜湾原子力発 電所第2期工事など大型プロジェクトやフランス産小麦購入の契約を一方的に破棄し ました。両国関係が好転し始めたのはフランスの社会党政権が倒れた93年以降で、両国は正常化を目指す共同声明を発表、同年、江沢民主席がフランスを公式訪問し、 97年にはシラク大統領が中国を訪問して全面的なパ−トナ−シップを謳うなど、首脳 外交が活発化しました。
 近年、両国が更に急速な歩み寄りを見せている背景には、第一にアメリカの1極支配 に対する懸念があり、イラク問題における国連の主導権を確保するという点で、国連 安保理の常任理事国である両国の意見が完全に一致していることが挙げられます。 2004年1月の国交樹立40周年に際しては、胡錦濤主席がフランスを訪問して大歓迎を受け、両国は<中仏の全面的な戦略的パ−トナ−シップを深め、一層安全で、一層多 様性を尊重し、一層団結した世界を築こう>と銘打った共同声明に署名しました。
 もう一つ切実な理由があります。それはフランス経済の低迷です。2003年、世界経 済は5.5%の成長を示しましたが、フランスは輸出がマイナス2.1%、輸入がマイナス 3.3%で、同時期、ドイツの輸出が史上最高を記録し、アメリカに替わって世界第一位の輸出国になったのとは対照的な結果になりました。対中国貿易でもフランスはドイツの3分の一に過ぎません。失業率が9.7%に達したフランスが、その活路を見出そうと中国に懸命に秋波を送っているのも見逃せない事実と言えましょう。

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