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第十四回 西気東輸、西電東送とエネルギ−問題
大気汚染や酸性雨の原因になる石炭、石油。自動車の "排気ガス汚染"を抑制するため、北京や上海では天然ガスを導入、"天然気発動機後置"と書かれたバスが目につくようになりました。
政府は燃料としての天然ガス使用を大幅に促進するため、"西気東輸"(西部の天然ガスを東部に供給)をスロ−ガンに、タリム盆地から上海に天然ガスパイプラインを建設するビッグプロジェクトを第10次5ヶ年計画に組み入れました。既に、各地で大規模なパイプラインの敷設工事が始まっています。タリム盆地ではここ2年で4つの天然ガス田が開発されていますが、推定される埋蔵量のまだごく一部だと見られています。この他、天然ガスは内モンゴル自治区、山西省、重慶市などでもガス田が次々と発見されています。国内で豊富に産出するのも大きな利点といえましょう。
大気汚染といえば、発電量の7割を占める火力発電も深刻な汚染源。このため、政府は水力発電や原子力発電の整備に力を入れています。
水力発電では、長江三峡ダム、黄河小浪底ダムに続き、"西電東送"の目玉として、広西チュワン族自治区の紅水河に、三峡ダムに次ぐ規模の竜灘水力発電所の建設が計画されています。但し、水力発電所の建設は、ダム地区の住民の移住問題など、付随して発生する問題への対策も重視しなければなりません。例えば、貴州省で計画されている"西電東送"用大規模水力発電所“洪家渡水発電所”は、2001年11月に着工されましたが、完成までに、5万人の移住が必要で、現在までに約2万人が移住を済ませました。ひとりあたり全省平均を上回る1.45ム−の土地が与えられ、住居環境も、以前より改善されていると言われていますが、継続的なケアが求められます。
原子力発電では、江蘇省の秦山原子力発電所第1期や香港に隣接する大亜湾原子力発電所が既に商業生産に入っているのに続き、第三の原子力発電所として、一期の4倍の容量を持つ秦山原子力発電所第2期工事が行われていて、2002年6月完成予定。また、江蘇省田湾原子力発電所の第1期工事も進捗中です。