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第百四十三回 鉄道輸送改革‐第5次スピ‐ドアップ
2004年4月18日、中国の鉄道第5次スピ‐ドアップが全国的に実施されました。1997年の第一次スピ‐ドアップでは、まず京広線(北京-広州)など三大幹線の1398kmの区間で時速120キロを実現しましたが、その後、1998年、2000年、2001年と、立て続けにスピ‐ドアップを実施、今回の改革でスピ‐ドアップ区間は16500kmに達し、時速160km区間は7700km、来年予定の第6次改革では時速200kmが視野に入ってい ます。
今回の改革で、これまで14時間かかった北京-上海間は11時間58分と、2時間2分短縮されました。ただ速くなっただけではなく、列車自体も一等寝台13両、一等車4両、食堂車1両を備えたボンバルディア25T型高速旅客列車が採用されました。
この改革で1日平均乗客輸送数290万人余りに対し座席提供数242万席という現状は大幅に改善されましたが、今回の改革の特徴はサ−ビスも大幅に改善されたことで す。4月23日付け人民日報の北京-上海間搭乗記によると、ク−ラ−や照明は自由に調節でき、一等車の座席はリクライニング、更に、航空会社で訓練を受けた乗務員は"人性化服務" (乗客の身になった控えめで静かなサ−ビス)に徹しているとのこと。また、切符の予約や変更手続きも大幅に改善されました。全国オンライン化で、乗車 180日前に何処からでも予約が出来、切符受け取り期日前であれば変更も自由、更に万一乗り遅れても、2時間以内なら別の列車に乗って列車内で変更手続きをすることが可能になりました。
重要物資輸送の改革も見逃せません。中国ではここ10年以上、"北煤南運" "西煤東 運" "北木南運" "北油南運" "西油東運" や食糧輸送など重要物資の輸送力増強速度が鉄道輸送工業生産額の増加速度を遥かに下回っていました。今回の改革では石炭の輸 送力が72%アップされ、石油・鉱石・鉄鋼・セメントなどの輸送力も大幅に改善されました。
政府は、今春、"中長期鉄道網整備計画"を承認しましたが、それによると、2020年には営業距離は10万キロに、また、旅客輸送線と貨物線を分離させ、複線化率・電化率を50%を達成することを目標にしています。経済の発展につれて、広大な中国で鉄道輸送の果たす役割はますます重要度を増していくことでしょう。