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第百四十九回 “CEPA” 1年の歩みと香港-その1-
昨年10月の第101号で<香港の模索>と題するコラムを書きましたが、いわゆるCEPA(内地と香港が一層緊密な経済貿易関係を構築することに関する措置)はその後、大きな進展を見せ、新しい局面を切り拓きつつあります。現状をレポートしましょう。
6月29日、CEPAは調印1周年を迎えました。今年の1月1日に正式に実施段階に入り、食品・薬品・電子機器など374品種の香港原産品に対して関税免除が適用されてから半年になります。内地と香港の経済・貿易の緊密化を図るこの協定は、主として貨物貿易、サービス貿易、貿易投資の利便化の3方面に分けられ、貨物貿易分野では、香港側はこの半年間で1147通の<原産地証明>を発行し、内地向け輸出総額は4.7億元に達しました。サ−ビス貿易では350通の<香港サービス提供者証明書>が発行され、その範囲は銀行・小売・物流・広告など各方面に及び、香港住民が広東省で個人企業主の身分で小売業務に携わることを許可する分野では489人が資格を取得、広州・深セン・珠海・仏山など各都市に続々香港商品ショッピングセンターが出現しました。
金融部門では、香港の多数の銀行が2月25日から個人向け人民元取り扱い業務を始めました。香港では、既に人民元は香港ドルに次ぐ重要な流通貨幣になっていますので、商工業者や観光客には朗報と言えましょう。また、香港の銀行や保険・証券会社に対しては内地の市場への参入条件が大幅に緩和されました。その一方で、内地の企業の香港株式市場への上場にもより広く門戸が開放されようとしています。
“早于世貿、優于東盟”「WTOより早く、アセアンより有利」な条件を香港に与え、香港経済の活性化を図ろうというCEPAの動きはますます加速し、その範囲を広げ、様々な波及効果を生み出しています。観光もその一つで、内地からの個人観光客は5/31に200万人を突破、7/1からは受け入れ地域を広東省以外の沿海各省の9都市へと拡大しました。香港政府観光発展局は、2004年に内地から香港を訪れる観光客の数は延べ1120万人に達し、昨年と比べ31.7%増になるだろう、と推定しています。
CEPAはこれからどのような展望を持っているのか、どのように深化していくのか、政治との絡みはどうなのか、といった問題はまた次回に。