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第百五十二回 入試の不正
6月7日から実施された全国普通大学入試の志願者は、前年より110万人多い723万名に達しました。今年の特徴は、農村からの受験生が初めて都市部を上回り、55%を占めたことで、女子の受験生も44.5%に上っています。理工系が53.7%と過半数を超えているのも中国の入試の特徴と言えましょう。
さて、この試験に関して近年問題になっているのが蔓延する不正行為。この風潮は既に社会現象になっていて、不正行為は「学校の日常試験から全国普通大学入試へ」「労働者や幹部の募集試験から各種専門技術資格試験へ」「学生から公務員へ」「受験生から試験監督者グループへ」と凄まじい勢いで広がっている(6/6付人民日報)とのことです。
教育部は今回の大学入試前の5月20日に、普通大学入試・社会人入試・大学院入試・大学検定など全国一斉に行われる教育入試を網羅する<国家教育試験規則違反処罰方法>を打ち出して警告を発すると共に、5月25日には、社会人入試でポケベルを使って試験場の受験生と連絡を取った黒龍江省の事件/西南農業大学外国語学部の教員が全国英語4級試験監督者の立場を利用して試験問題と答案を盗み出して売った事件など4件の典型的な不正事件を公表しました。
こうして迎えた今回の大学入試では、723万の受験生全員に<誠実受験誓約書>を提出させましたが、江西省では依然として偽の試験問題と答案が出回り、湖北省では携帯を使った不正が3件、更に武漢では替え玉受験者も摘発されました。中国の場合、特に事態が深刻なのは、カンニングをしやすいように受験生の席を調整させたり、監督者に不正を見逃すよう指示したりする地方の有力者や、子供が優遇資格(“三好学生”“優秀学生幹部”など)を得て上乗せ点が加算されるようにコネや裏口に走る親、そして入試を商売のネタにしようとする教師の存在です。
今回、西安の一部の学生が、点数が加算される2級運動員の資格を不正に入手していた事が明るみにでましたが、「“三好学生”のみならず、革命烈士の子孫、華僑の子女、退役兵士、勇気ある人助けなど、多すぎる加算項目が不正の温床になっている」と言う投書は傾聴に値します。