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 第百五十六回 環境汚染と汚染排出権−その1−


2004年3月、人民日報があるページ全面を使って日本の水俣病大特集を組み、工場 廃水による環境汚染に警鐘を鳴らしました。これは何を意味するのでしょうか?
中国では、成長一点張りのこれまでのやり方のツケが来て、各地で環境汚染が深刻化しています。黄河流域では、汚染による年経済損失が156億元に達し、27億元の健康被害を生んでいます。淮河流域では、小規模製紙工場群の総生産額が500億元なのに対し、汚染除去費用が3000億元にも達し、汚染により河水の60%が工業用水、農業用水にも使用できなくなっています。更に、漁業への影響も深刻で、汚染による2003年の天然漁業の損失額は36億元に上り、2004年5月には渤海湾、東海を中心に1万平方キロに及ぶ赤潮が、6月にも渤海で3200平方キロの赤潮が発生しました。
2004年2〜3月、四川省沱江で深刻な汚染事故が発生しました。四川化工第2化学肥料工場の排水による汚染で、100万人住民の用水が26日間供給停止になり、50万kgの魚が死亡、大量の沿岸企業の倒産を招きました。直接的経済損失は3億元、生態環境の回復には少なくとも5年かかると言われています。この衝撃がまだ覚めやらぬ4月〜5月には、またまた同流域で製紙工場の排水不法投棄があり、10万kgの魚が死亡、62の製紙工場が閉鎖に追い込まれました。
大気の汚染状況も深刻で、二酸化硫黄の排出量は既に環境の引き受け能力の81%に達し、国土の3分の一が深刻な酸性雨の被害を受け、年損害額は1100億元に達しています。年間放出量の34.6%を占めているのが火力発電所ですが、昨年来の深刻な電力不足を解決すべく、火力発電所の能力を倍増させる計画が急ピッチで進められており、大気汚染抑制の為の対策も焦眉の急となっています。
このような状況に対処すべく、政府は2003年に<クリーン生産促進法>を公布、6月〜9月には"違法排出企業を取締り、大衆の健康を守る環境保護活動"を発動し、 200万社あまりを調査し20877件を摘発、その結果7329社が閉鎖に追い込まれ、1094社が期限付き執行猶予となりました。このような背景の下、政府は、2004年以下いると、本格的な対策に着手し始めたのです。その詳細は次回に。

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