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第十六回 基礎教育改革
“両基”(“基本普及九年義務教育”、“基本掃除青壮年文盲”)「9年間の義務教育を基本的に普及させる、青壮年の文盲を基本的に一掃する」が着実に成果を上げてきています。全国の小学生の就学率は99.1%、中学は88.6%に達し、青壮年の文盲率は5%以下にまで下がりました。
義務教育が普及する中、昨年秋、基礎教育の充実を旗印に、小中学校のカリキュラムが一新されました。“科学”“歴史と社会”“体育と健康”“芸術”“総合実践運動”等が新たに加わり、国が全体の80〜84%の科目を決め、その他は地方と学校が自主運営するという“三級管理”システムが採用されることになりました。
これと同時に教育部は、小学校三年から英語教育を導入することを決めました。まず、大中の都市で実施し、その後、全国に拡大する方針で、内容は、ゲ−ムや歌などを中心にして英語に興味を持たせ、語感を養うことに主眼が置かれます。また、情報教育も重視されるようになり、北京では2003年秋から全市の小学校に“情報技術必修課”を設けることになりました。
一方、上海では、97年から、ゆとりある教育を目指して全市で中学受験を廃止し、小学校教育の画一化を打破しよう、という動きが盛んになっています。
一人っ子政策は子供に対する過重な期待を生んでいます。中国語で、“抜苗助長”と言う言葉は、日本語の「助長」の語源ですが、最近、流行になりつつある早期の海外留学もその1つの例。英語の習得を重視する風潮から、シンガポ−ル、オーストラリア、ニュ−ジ−ランド、さらにはイギリスへと中学生留学が増えていますが、きちんとした事前調査や事前教育が欠如しているため、失敗例が後を絶ちません。
ここ数年、子供の負担軽減は社会問題にまで発展しました。そのきっかけは1999年1月、浙江省金華市で17歳の男子生徒がテストの成績のことから母親と口論になり、金槌で母親を殴り殺した事件です。この事件は中国全土を震撼させ、江沢民総書記自ら関係機関に抜本的対策を指示しました。今回の教育改革でどう解決の糸口が見出せるかに関心が寄せられています。