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 第162回 老齢化対応策


国連の2030年世界人口予測によれば、中国の人口は2030年に14億5千万人のピークに達するとのこと。その一方で人口に占める老齢者の割合も急速に増えています。2004年現在、老人(60歳以上)は全国で1億3千万人を超え、なお毎年3.2%ずつ増加、2050年には人口の4分の一以上に達すると言われています。  
老齢人口急増による問題の一つが“空巣老人”「一人暮らしの老人或いは老夫婦のみの家庭」の問題です。“空巣老人”が増えた理由は、①住居環境の改善により子供との別居を希望する老人が増えた ②計画出産の浸透で家庭が小型化し、家族の数が減った ③若者が出稼ぎや仕事の関係で家を離れ、老人が取り残された ④経済的に父母を支えるだけの経済力が無いなどが挙げられています。南京では老人を抱える家庭10軒中4軒が“空巣老人”で、鼓楼区ではその率が59.4%に達しているとも。
こういった老人の面倒を誰が見るのでしょうか。一人っ子政策の結果、中国では“四二一”型家庭が増え、一組の夫婦が12人の老人の面倒を見なければならない場合さえ有ります。2000年に国家統計局が行ったサンプル調査によれば、子女の経済的援助がある老人は、農村では60%を超えたものの、都市部では30%あまりにとどまりました。しかも、その後、農村でも若年労働者が大量に流出し、深刻な事態となりつつあります。
そこで今、精力的に進められているのが養老保険制度の確立。現在中国の定年退職者数は4500万人、2010年には7000万人に達します。給付金の支払いに支障をきたさない為に、今春、国は保険加入者1億6千万人の目標を立て、6月末には1億5806万人を達成、なんとか給付を継続しています。また、今後、国が86%を支えている割合を45%に減らし、企業年金の割合を30%に引き上げるべく、2004年5月、<企業年金試行方法><企業年金基金管理試行方法>を公布し、非公有制企業も積極的に取り込む姿勢を示しました。更に退職後の管理については“社会化”(企業に任せず、“社区”などの地域が管理することで、倒産などのあおりを受ける可能性を排除する)を進め、2004年の退職者については90%の達成を見込んでいます。一方、農村でも、個人と町村と上級政府が三位一体となった養老保険制度確立の試みが、北京や青島など各地で徐々に始まっています。

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