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 第163回 “行業協会”(業界団体/工業会)


まず、2004.8.30の人民日報から。
  1. 飲食類協会がコンテストを企画、政府主管部局の承認を得、半年間準備したが、直前に中止命令。2ヶ月もしない内に主管部門がアイデアを横取りして自分でやった。
  2. 例2:政府が冶金資格認証制度を設けるので冶金建設協会は管理委員会で試験大綱を作成したが、いざという時に政府部門から「こちらでやるから手を引け」との指示。
  3. ある協会が中古車販売協会を作ろうとしたが、主管部門直属ではなかった為、間を取り持つ直属協会に資料を提出したところ、その協会にアイデアを横取りされた。
 “行業協会”は第2の役所だ、敬老会だ、という批判が強まっています。これまでの協会の主要業務が政府の仕事の肩代わりで、職員は主管部門からの天下りが多く、何かといえば寄付を押し付ける一方、企業が求めるサービスはほとんど無い、結果は当然企業が協会離れを起こし、会費も集まらなくなります。しかし,WTOに加盟で様子は一変、自由貿易体制の中、情報の収集・コンサルティング・法律の専門知識・専門職の養成・国際的な各種ルートの開拓など一企業では対処できない数々のニーズに行き当たりました。また、ダンピング問題など外国との貿易摩擦が生じた時の対処も容易ではありませんし、大規模なプロジェクトや複数の分野を包括した注文に応じるには、各関連企業の取りまとめや調整役も必要になります。
 記憶に新しいのは、温州のライターが2004年にEUの反ダンピングに勝訴した件です。当時温州では市が画期的な<温州市“行業協会”管理方法>を打ち出し、業務主管部門を政府から市の商工連合会に移し、全市規模の“行業協会”は89に達していました。そしてそのうちの一つ、298社が加盟する<温州市“煙具行業協会”>がすぐさま200万元あまりの活動資金を捻出し、国際弁護士を雇い、16の企業を糾合して応戦しました。その結果、2003年にはEU側が提訴を撤回し、実質的な勝訴を勝ち取る事ができたのです。
 数年前まで珍しかった“行業協会”の海外視察団も最近ではごく当たり前。厳しい国際競争を勝ち抜くためにも“行業協会”が果たす役割の重要性は増すばかりで、政府が旧態依然とした縄張り意識・権益擁護を改め、権限を大幅に委譲する事が求められています。

三瀦先生のコラム