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第166回 判例から見た世相あれこれ(1)
法治国家を目指す中国。世相の変化が生み出すさまざまな問題が法廷に。人民日報の“新案導読” (新判例指南)欄等で紹介された様々な判例はまさに現代中国を映し出す鏡です。- ◆訴訟案件Ⅰ
- 2004.8.18付−山東省の農民、徐軍。5年前の結婚時は、子供は金を稼いでから、と妻と約束。しかし30歳を過ぎ子供が欲しくなり、妻に頼んだが拒絶され口げんかに。その後<人口と計画出産法>に男性の子を持つ権利規定があることを知り、妻に自分の子を産ませる判決を求めて訴えた。
-    判決 :
- 「男性が子供を持つ権利は認めるが、強制はできない。子供は両者の合意でつくるもの。」結局、裁判所の調停で“被告”が生むことを承諾し、めでたしめでたし。
-     一言 :
- 豊かさも大事だが、子供が欲しいのも人情。どちらが先か悩ましい。
- ◆訴訟案件Ⅱ
- 2004.2.15付−ある村の養殖専業農家が、養殖したドブ貝1000斤を食品工場に頼んで1000元で冷凍食品にしてもらい、その後自分で販売しようとした。ところが、加工中に中から11個の真珠が出てきて、工場はそれを売って5300元を得た。それを聴いた農家は代金の返還を要求したが拒絶され法廷に。
-    判決:
- 「契約の中には真珠のことは含まれていない。<中華人民共和国契約法>第251条に基づき、工場は5300元を農家に返還すべきである。」
-    一言:
- “農業の産業化”の中で金銭トラブルも急増中。まさに“法治”が試される。
- ◆訴訟案件Ⅲ
- 2004.4.5付−2003年6月、原告張先著は某市で安徽省の公務員試験を受験、希望職にトップで合格したが、健康診断でB型肝炎と診断され不合格となり、合法的権利が侵害されたと、不合格の取り消しを求める行政訴訟を起こした(この訴訟はB型肝炎差別訴訟として全国的に注目された)。
-    判決:
- 「市側は原告の審査を受ける資格を取り消したが、原告のB型肝炎の度合いは安徽省の細則適用範囲ではなく、証拠不十分である。したがって、市は訴訟費用100元を負担すること。ただし、採用試験は既に終わり、2位の者が繰り上げ合格しており、撤回不能である。それゆえ、これ以上の要求は認めない。」→原告は控訴の方針。
-    一言:
- B型肝炎患者の任用の可否についてはお茶を濁したまま。エイズ患者は?