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第168回 巨大経済圏と港湾整備−その1−
中国経済の国際化が進む中、環渤海湾・長江デルタ・珠江デルタなどの巨大経済圏がその姿を鮮明にし、経済発展の牽引車としての役割を果たしつつありますが、今後の更なる発展には、各地域とも港湾の拡充整備が不可欠になります。2004年、中国は港湾施設拡充投資を33%増額し、1万トンクラスの深水バース47本を含む67本のバースを建設、新規呑吐能力を1億2千万トンアップさせました。中国港湾の総呑吐量は前年比21.3%増の40億トンと世界一を保持、コンテナは26.4%増の6150万箱に達しました。わずか数年前、7港が年間呑吐量1億トンを突破した中国ですが、上海港は2004年の年間呑吐量が3億7900万トンに達し、ロッテルダムを抜き、シンガポールに次いで世界第2位に、コンテナ取扱量も香港・シンガポールに次いで世界第3位になりました。また、天津・寧波・広州も年間呑吐量が2億トンを突破しています。
しかし、経済が急速に成長する中、なお、2005年には5億トンの輸送能力が不足、現状のままでは2010年には不足分が20億トン(コンテナ8200万箱・石炭3億3千万トン・原油8千万トン・鉱石3億5千万トン)に達すると予測されます。なかでも輸入が急増している原油に関しては、現在、20万トンクラスの原油バースが4本しかないなど、輸送能力の増強が急務になっています。
2004年12月、国務院は<長江デルタ・珠江デルタ・環渤海湾3地域沿海港湾建設計画(2004-2010年)>を採択、同月開催された全国交通工作会議の工作報告のなかで、張春賢部長は、2005年には総呑吐量は46億トンに、コンテナ取扱量7500万箱に増加すると推定、また、交通部企画局の任建華副局長は、2010年までの第11次5カ年計画の中で環渤海湾・長江デルタ・珠江デルタの三大港湾群の呑吐能力を少なくとも現在の2倍以上の35億トンに拡大する構想を提示しました。港湾設備の充実は、西部大開発、東北振興以後の各巨大経済圏の協調発展を促進するカギとして最重要視されるようになっているのです。
それでは、このような全体計画の中で、各港湾は、それぞれの役割と独自性を考慮しつつ、どのような整備を行い、またどんな将来計画を練っているのでしょうか。その点については次回に個別に観察することとします。