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第175回 供銷社と専業合作社
耕地が国土面積の一割強しかなく、農家2億5千万戸の平均耕作面積がわずか7ムー(1ムーは約15分の1ヘクタール)に過ぎない中国では、市場経済の発展に伴い、各農家が個別に農業を営む従来の形態では農業の産業化に適応できなくなっています。そこで、中共中央は2004年に<農民の増収を促進させる若干の政策に関する意見>と題する1号文献を出し、「農業生産品経営販売主体の育成」を掲げ、各種農業生産品の“専業合作組織”を発展させ、情報や技術の提供・品質基準の提示や認証・市場参入への取り組みをサポートする姿勢を明確に打ち出しました。
“農業専業合作組織”設立の動きは2004年に入って急速に活発化し、その数は全国で15万を超え、農業・畜産・漁業から農産物加工・貯蔵・運輸など各方面に広がっています。省行政レベルでも既に500あまりに援助が行われていますが、中央や地方政府から資金援助が得られるようになったことは大きな進歩といえましょう。
長らく農民への必需品の供給や農産物・製品の購入販売を行っていた“供銷合作社(略称“供銷社”)”は、組織の硬直化・サービスの欠如・市場の変化への対応不足により、一時は市場化の波の中で低迷し、多くが赤字に転落しました。ここ数年、“供銷社”は、自身が本来“合作経済組織”であり、更に全国ネットを持つという利点を活用し、積極的に各種の新型“農業専業合作組織”の設立を推進し、中華全国供銷合作総社によれば、2000年以来、連続して黒字に転じ、農民の増収に大きく貢献した、ということです。
“供銷社”は2004年時点で869の“行業協会”「業界団体」(中国綿花協会・中国畜産品流通協会など10の全国規模団体を含む)を有していますが、同年、それらの首脳陣に経営管理や法律に精通した人材を抜擢する改革を断行しました。各地の“供銷社”は、<リーダー企業+専業合作社や専業協会+農家>といったモデルを構築し、再生を図っています。
農業市場化の組織形態には、農家自身が集団で組織を作る方式、企業と農家の契約農業方式、農民・技術者・資金提供者が協力し応分の配当を受ける方式、民間企業が土地使用権を集め、農民を雇用する方式などがありますが、その組織が正しく運営され、農民に対する収奪にならぬよう、行政権限の明確化と関係諸法の整備が求められます。