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 第180回 中国伝染病事情

ここ数年、中国ではサーズ・トリインフルエンザ・エイズなどがクローズアップされましたが、今回はその他の伝染病について見てみましょう。
まず注目は保菌者1億2千万人というB型肝炎。慢性患者は2千万人で、毎年35万人がB型肝炎で亡くなっています。最近はC型肝炎も増加傾向を示し、陽性患者は4千万人で世界の4分の一。麻薬の静脈注射や医療器具の消毒不足などが原因になっています。中国では2002年から乳幼児へのB型肝炎ワクチンの接種が始まり、2005年1月にはA型B型混合ワクチンも開発されましたが、正しい治療を受けているB型肝炎患者はわずか19%、50%の患者が感染の仕方を誤って認識していることの是正が急務と言えましょう。
最近特に問題になっている血吸虫。2002年は前年比59%増、2003年は22%増で、2004年の患者数は84万人を超えました。日本住血吸虫はミヤイリ貝を中間宿主としますが、2001年から貝の分布地域が広がり、2003年には全国で37億9千万㎥に。その最大の原因は近年の度重なる長江流域の洪水で、三峡ダム工事や長江の水を黄河に引く南水北調工事の間接的な影響も取り沙汰されています。2005年1月、衛生部は湖北省・湖南省・江西省などに対し<血吸虫予防治療項目方案>(試行)をプリント配布し、血吸虫の汚染度によって各村を5類に分け、それぞれの対策を示しました。
最後に、ここ数年毎年新たに150万人が発病、13万人が死亡しているという結核。2004年時点で保菌者は5億5千万人、患者総数は世界第2位の450万人で、その80%が農村在住者です。政府は<全国結核病予防治療計画(2001-2010年)>を制定し、貧困者の治療費を免除すると共に患者の捕捉率の向上を図っていますが、捕捉率はまだ半分程度。このままでは今後10年で2〜3千万人が新たに発病するという推定もあり、予断を許さない状況です。山西省では2001年から日本による<中国結核病プロジェクト>が始まっていますが、このような援助は今後も継続する必要があるでしょう。
2004年、中国政府は全国的な公共衛生システム整備に重点的に着手し、突発性伝染病に対する対策や伝染病情報の伝達と開示システムの構築を進め、12月には新<伝染病予防治療法>も施行されましたが、併せて一般庶民の衛生観念の向上も不可欠でしょう。

三瀦先生のコラム