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第184回 携帯業界−3G時代の到来
2005年4月26日、中国工程院鄥賀銓副院長は、北京で開催された<2005年TD−SCDMA国際サミット>で、TD−SCDMAが商用段階に到達したことを宣言、中国科学協会の周光召主席は、「TD−SCDMAは、100年にわたる中国電信史上の重大な成果であり、世界の移動通信業の発展に対する中国電信業の偉大な貢献である」と述べました(人民日報2005.4.27)。
中国は、動画の送受信が可能な第3世代携帯電話(3G)に、WCDMA(NTTドコモ・エリクソンなど)・CDMA2000 1X(アメリカのクアルコム)とTD−SCDMA(中国独自規格)の3規格採用を決めていますが、TD−SCDMAはまだ音声通話やデータ通信面での課題を完全にはクリアしていない、というのが外部の一般的な認識でした。今回の発表は、2004年に情報産業部の音頭で内外の関連企業40社を集めて大規模な3規格に対する技術ネットテストを行った結果、TD−SCDMAが優れた結果を出した、というのがその根拠になっています。
2004年11月に情報産業部が発表した統計によれば、2004年10月末現在で中国の携帯電話使用者数は3億2千万を超え、毎月550万の割合で増加、普及率は24.8%に達しています。既に3G時代に突入している日本や韓国に比べ遅れていた中国も2005年9月には3Gの事業免許が下りる予定で、内外の関連企業の動きも急速に活発化しています。中国側の予測するTD−SCDMAのシェアは4分の一程度で、他の2規格に対する規制はしないと政府筋は言明しており、これまで国内の第2世代使用規格が中国で使用されなかったことで苦戦を強いられた日本企業にとっては巻き返しの絶好のチャンスになります。
2005年2月6日から15日まで、春節(旧正月)で賑わう上海で、上海移動通信と上海文広グループ共同提供による携帯用ショートドラマ<新年星事>(毎回3分)が放送されました。受信できた人は約2000人。モニター申し込みは異常な人気であっという間に埋まってしまったそうです。中国で3Gがすんなり普及するかについては、4000元くらいと予測される端末価格をどこまで下げられるかが一つの課題ですが、中国人の新しいもの好き・見栄っ張りな性格がその普及の最大の味方になるでしょう。