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 第188回 中台関係−その2−台湾農産物の販売

2005年5月3日、国務院台湾事務弁公室陳雲林主任は、台湾の農産物に対する新しい優遇措置を示しました。台湾の果物は、台湾が独自の関税地域としてWTOに加盟した後、厳しい国際競争に直面、深刻な販売不振に陥っていました。大陸への販売は現状打開の切り札で、従来12〜16%の関税+17%の増値税を課せられていた台湾産果物にとってゼロ関税の実施は、まさに干天の慈雨に等しいものと言えましょう。
この問題は2003年頃から論議が始まり、大陸各都市では既に台湾農産物展示即売会が数十回開催されて、台湾でおなじみの“蓮霧” や “楊桃”などが人気を集めていました。2005年2月25日、国務院台湾事務弁公室経済局唐怡副局長が両岸の農業協力の強化と台湾農産物の大陸における販売を積極的に推進する方針を表明、3月には胡錦濤総書記が全国政治協商会議で、温家宝首相は10期全人代第3回会議閉幕後の記者会見で、台湾、特に台湾南部の農産物の大陸販売に積極的な姿勢を示しました。
中台間の農産物取引は年々拡大し、大陸側の2004年対台湾輸入額は前年比10.4%増の1.16億元に達しましたが、農産物輸入総額に占める比率ではまだわずか1%に過ぎません。台湾農民連盟常務理事詹澈氏は「台湾産果物の3分の一が大陸で販売されれば、農民の投じるコストに見合うものになる。一方、台湾で不足しているトウモロコシや大豆が大陸から供給されれば、島内の養殖業のコストを大幅に削減することになる」と述べています。
大陸側のこのような積極的姿勢の背後には、当然の事ながら、陳水扁政権に対する揺さ振りの意図があります。4月8日付読売新聞は、「台湾南部は、独立志向の与党・民進党の地盤で、台南県は陳総統の地元」である事を指摘していますが、鮮度が命の果物の輸送という点では、“三通”実現に対する強烈なアピールでもあります。<反国家分裂法>の制定、連・宋訪中とパンダ贈呈の友好ムード、そして農産物の門戸開放と、硬軟取り混ぜた大陸側の攻勢に対し陳政権がどう対応するか、まさに正念場と言えましょう。

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