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第十九回 野生動物の保護
昨年の12月21日、全国野生動植物保護と自然保護区建設プロジェクトが正式にスタ−トしました。期間は2001年〜2050年で、3段階に分け、まず手はじめに2010年までに、パンダ、トキ、トラなど13種の動物にランとソテツを加えた15種類の絶滅危惧種の繁殖に取り組み、また、現在1276ヶ所ある自然保護区の数を1800ヶ所まで増やすことが計画されています。 世界中の人々に愛されているパンダも<世界自然基金会(WWF)>の調査によると、現在では、僅かに甘粛、陜西、四川などの5つの山系に生存しているのみになりました。
パンダだけではありません。"長江の女神"と呼ばれているチョウコウイルカは生息数が100頭を下回ってしまいましたし、中国近海に生息する中国イルカもその数は数千頭に過ぎない、と言われています。
一方、必死の保護活動が成果を上げつつある動物もいます。揚子江ワニは1970年代に200頭余りまで減りましたが、1986年から人工繁殖に取り組み、現在では9000頭ほどに回復しました。
また、1970〜80年代に大興安嶺や小興安嶺で消息が途絶えた東北トラも、最近、その活動ぶりが次々と報告されています。吉林省蛟河市では、2001年7月に3頭の子ウシがトラに食べられ、更にある農民は「至近距離でトラを目撃した」とのことです。
野生動植物の減少は、開発による環境破壊が大きな原因ですので、政府は同時に生態環境の保護と回復にも力を入れているのです。
貴重な自然の宝庫であるチベットでは、自治区全体の3分の一が自然保護区に指定されましたが、自然保護区以外にも、小規模な保護地域が全国的に設けられ、其の数は既に5万ヶ所に達しています。
中国では多くの野生の動植物が漢方薬の主要な材料にされ、また、珍しい動物を食べたがる中国人の「悪食(あくじき)」も見逃せません。政府の取り締まり強化にも関わらず、手に入りにくくなればなるほど儲けになる、と乱獲が止まないのも悲しい現状なのです。