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第191回 中露関係−その1−
中露関係は1996年に戦略的協力パートナーシップを確立、胡錦濤も党総書記・国家主席に就任後第一にロシアを訪問(2003.5)するなど、着実に信頼関係を積み重ねてきました。両国の経済貿易関係も順調に発展し、2003年には貿易額が157.6億ドル(2004年:212億ドル)に達し、ロシアにとって中国は第二の貿易パートナーになりました。
2004年9月、モスクワで開催された中露首相第9回定期協議で温家宝首相は①貿易秩序の規範化②インフラ整備・エネルギー源・資源開発・加工製造・ハイテクを相互投資の重点に(中国は2020年までに120億ドルを投資)③早期にエネルギー協力に関する長期的合意を締結④原子力・宇宙科学・バイオ・化学・新素材・情報などハイテク面での協力強化⑤国境地区の省・州・市レベルの連携強化、を提案しました。同年10月、プーチン大統領が中国を訪問、まず両国外相が<中露国境東部に関する補充協定>に調印して、4300kmに及ぶ中露国境全面確定に目途をつけ、更にプーチン・胡錦濤両首脳が、2001年7月に締結した<中露善隣友好協力条約>に基づく<中露善隣友好協力条約実施綱要(2005-2008年)>に調印、両国の協力関係は新たなステップを踏み出しました。
一見、順調そうな中露関係ですが、2004年来問題になっているのが“灰色清関”の問題。靴や衣服など相当量の中国製品が、ロシア側の税関申告請負会社を通して品目を偽ってロシアに流入、両国の税関申告の差額から判断すると、2003年には22億ドルもの中国製品が関税逃れをしていました。2004年2月、これらの製品の一部をロシア当局が差し押さえたことからこの問題が俄かにクローズアップされました。この背景としては、過去のいきさつから、現在ロシアの通関申請業務を請け負う中国側の企業が1社もない事も挙げられ、その意味で、中国企業のモラルに加え、ロシア側の取締り体制にも大いに責任あり、と言えましょう。
2005年3月にロシア税務当局はまた不正通関を理由にモスクワ市内の中国靴コンテナ倉庫から8000万元相当の靴類を押収しました。大部分は温州製ですが、中国の業者とロシアの通関請け負い業者との癒着によるものであることは明白で、今後の両国間の貿易の秩序ある発展を図るためにも、税関手続きの透明化、規範化が強く求められます。