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第199回 節水への取り組み−その2−都市篇
渇水・洪水・水土の流出・水質汚染の4重苦に悩まされている中国。飲料水・工業用水確保の為に地下水を大量に汲み上げた結果、全国50あまりの都市で地盤沈下が発生し、華東地区では直接的経済損失は200億元(間接的には3500億元)に達しています。その一方で、毎年再処理されることなく2000億トンの水が排出され、都市部の川の90%が汚染され、湖沼の75%が富栄養化している現状は明らかに異常で、何らかの対策が必要です。では都市部では水不足をどうやって解決しようとしているのでしょうか。
一人当たりの水資源量が全国の8分の1という北京では、2004年から官庁や軍などの水使用を10〜15%削減し、2005年には更に10%削減する目標を掲げました。2005年5月1日、<北京市水使用節約方法>が実施され、水使用機関は節水管理部門の年度別水使用指標に則って水を使用すること、規定数量を超過した場合は超過量にあわせ累進徴収する(20%までの超過:価格の2倍/40%まで:価格の3倍/40%以上:価格の4倍)、新築・増築・改築に関する節水設備は建物本体と並行して設計・施工・完成させること、景観環境用水や雑用水は水道を使用せず、雨水や再処理水を使用することなどが規定されました。
80%の水を市外の東江に頼り、2020年には8億㎥の水が不足すると推定されている深圳でも、2005年3月1日、<深圳市水使用節約条例>が実施され、面積2万㎡以上の新規着工住宅及び4万㎡以上の新規着工オフィスビルは汚水再利用システムと再処理設備を備える事が義務付けられました。深圳市の水道水のコストはトン当たり2元以上ですが、“中水”(再処理水:飲料には使えない)は1.23元、将来的には0.8元も可能と言われています。
この他、広州市では<広州市都市水供給条例>を制定し節水器具普及の推進力として段階的水道料金価格制を導入、四川省は省全体で<四川省都市水使用節約管理方法><四川省都市水供給条例>などを制定して水の節約に取り組み、成都市では水の計画的利用率が90%以上に達し、汚水処理率32%、工業用水重複利用率は55%に達しています。また、最近の新しい施策として、市場原理を活用して水資源を適正配置しようと、天津などで、CO2の排出権に倣って、節約して余った水使用割り当て指標を有償譲渡する取引も始まりました。こうした工夫は今後全国的な広がりを見せると思われます。