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 第二回 第三者物流

(2001年10月08日執筆)
2002年11月、加筆修正いたしました。

90年代の急速な経済発展により、"沿海"地方から"長江沿い"、"国境沿い"、"鉄道沿い"へと、改革開放の波が全国を覆うようになりました。
2001年からの第10次5ヶ年計画では5年間に20万キロの自動車建設が予定されていますが、着々と整備される交通インフラに対し、問題になっているのが立ち後れている物流関係。そもそも、"物流"という言葉自体が新しく、2001年8月にやっと、物流関係の専門用語145個(基本的な概念に関する用語、物流作業用語、物流技術装備設備用語を含む)の規範化が実施されたばかりです。
先進国のGDPに占める物流コストは10%なのに、中国では16.7%。商品コストに対してはアメリカが10〜32%なのに、中国は先進地域の珠江デルタでも50〜60%も占めています。更に、独立した運輸業の物流に占める割合は、日本80%、アメリカ57%に対し、中国ではわずか18%。他方、各企業が自前で行っている物流業務では、実際の稼働率が60%前後で、毎年100億元のロスを生んでいます。
"第三者物流"は、"契約物流" "物流連合" "物流の社会化" "物流の外部化"とも言われています。つまり、商品の供給側にも受け取り側にも属さない、純然たる輸送専門業のことです。   WTO加盟で輸送専門業の急速な発展が不可欠となり、外国の大手運輸会社の参入も必至。これに備えるため、例えば北京では、交通部と北京市が共同で1億5千万元をかけ、既に39万平方メ−トルの超大型物流区、北京華通物流区を建設しています。こうした物流業界整備の動きの1つとして、この9月には、宝洪物流グル−プが郵政局と、物流配送提携の合意文書にサインした、というニュ−スが伝わってきました。両者は今後、資源の利用、代理業務、技術、価格などの面で長期的、安定的に協力していくことになります。陣取り合戦はもう始まっているのです。
2010年の市場規模は1兆元を超えるだろうと予測される中国の物流業。2002年には、営業用輸送トラックの運転手の資格試験もスタ−ト。
国民経済発展の鍵を握る重要な産業として、物流関係は今後、大いに注目されていくことでしょう。

三瀦先生のコラム