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第201回 農民の職業教育と転業
(2005年10月17日執筆)
2004年、1億4千万人もの農民が都市部を流動しました。農民労働者の第2・3次産業に占める割合は46.5%(第2次産業56.7%、建築業80%)。出稼ぎは、年収924元以下の貧困者7587万人、668元以下の極貧者2610万人という中国農民の経済状況を改善するには不可欠ですが、その環境が劣悪なのは周知のとおり。そこで国務院は2004年12月、就職紹介訓練施設の充実・都市での就職手続きの利便化・インチキ斡旋被害の救済・賃金未払いや人権侵害などへの対応を掲げた<農民の都市での就業環境改善事業をより確実に行うことに関する通知>を公布し、関係各方面に一層の整備を促しました。
一方、2003年の平均教育年数が都市住民より3年少ない7.6年で、小中学校卒が75.14%という農民の質の向上も欠かせません。2004年、全国各地で再配置訓練に参加した農民は600万人。政府による<農村労働力再配置訓練公開プロジェクト>では2005年春節までの1年あまりで250万人の農民を訓練、220万人が転業して就業率は88%、月収は平均700元で、農業従事時に比べ400元以上増加したとのこと。
遼寧省では2005年、<農民労働者1万名就業訓練プロジェクト>を実施して5月には1200名あまりが木工職人・瓦職人等の<職業技能ポスト証明書>を受領。安徽省では沿海主要工業地区の需要に合わせた受注型訓練で縫製工などを養成しています。浙江省諸曁市では、2004年に市政府が750万元を拠出して農民に<労働技能訓練券>を与え、562の各種訓練クラスで58340人の農民を訓練し、19160人を再配置。各担当部門には毎月、実施計画・実施結果の報告を義務付け、訓練機関や教師の選定基準を明確にし、60コマ・15日間以上を必須とし、合格者には<諸曁市農民素質訓練合格証>を交付しました。
特色ある労務輸出も話題になっています。四川省の女性による“川妹子”家政婦は北京でも有名ですが、青海省海東地区は、まず80年代末にアモイで海東人ラーメン店を展開、今年3月までに全国で8000軒あまりが開業し、その後も沿海・中部各都市で1日平均15軒が開店しています。労務輸出者数が全国一の河南省では「食べる為の出稼ぎ」から「家を建てる為の出稼ぎ」へ、更に「稼いだ金で工場を」に変化しつつあると言われています。
"一人打工全家脱貧困,二人打工全家致富,三人打工全家駐城,四人打工全家入市"