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第209回 石油の確保
(2005年12月12日執筆)
経済発展につれて世界第2位のエネルギー消費国・生産国になった中国。石油について言えば、2004年の原油生産高1.75億トンは世界第5位に相当、一方で世界の原油取引量の6.31%(1.7億トン)を輸入しています。このままでは2020年には需要量が4.5億トンに達し、60%は輸入に頼らざるを得ないと言われ、石油消費の40%を占める自動車燃料の節約や日本の11.5倍という単位GDPのエネルギー消費率が問題になっています。
こうした厳しい現実を前に中国では今、中国石油・中国石化・中国海洋石油の三大会社が国内外で油田の開発に狂奔、まず国内、特に西部地区の油田開発を急ピッチで進めています。ジュンガル盆地の新疆油田、オルドス盆地の長慶油田は既に年産1000万トンを突破、他の油田も続々生産量をアップさせ、更に大型油田の発見も相次いでいます。また、2005年9月には陝北地区の油田開発を目的に、延安に第4の石油企業、陝西延長石油が誕生しました。また、西気東輸に次ぐエネルギー輸送の大動脈として、西部原油・精製油パイプライン(ウルムチ-蘭州)敷設工事が進捗中で、計画中の蘭州-鄭州パイプラインと接続、東北-河北パイプラインとも連なって、西油東運・北油南調という広域精製オイル輸送網を形成する、ということです。一方、2005年上半期、海洋油田は1576.8万トン(全国生産量の17.6%)の原油を生産しました。中国海洋石油は2005〜6年に16の新海洋油田で生産を開始する予定で、問題の春暁ガス田付近の東シナ海での探査も再開されています。
国外からの調達も盛んになっています。中国は2004年時点で①サウジアラビア②オマーン③アンゴラ④イラン⑤ロシアなど世界20数カ国から原油を輸入、最近では中国石油が41.8億米ドルでカザフスタンの油田権益を持つカナダのペドロカザフスタンを買収したことが話題になりました。カザフスタンと新疆を結ぶ全長988kmの大パイプラインもこの12月に完成、初年度は1000万トンが送油される予定です。既にインドネシアの5大油田の部分的権利を取得している中国海洋石油は、アメリカのユノカル買収は断念したものの、2005年4月には52のカナダ・オイルサンド鉱区を持つMEGエナジー社株式の16.69%を取得しています。近年の中国資源外交の猛烈さは眼を見張るばかり。ベネズエラ・コロンビアといった南米諸国へのアプローチも積極的に行われています。