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第212回 北京オリンピックへの準備と課題−その1−
(2006年1月10日執筆)
魚は広き大海原を楽しげに遊弋し/羚羊は果て無き大地を疾く駈け廻り
パンダは鬱蒼たる森を悠然と歩み/ツバメは紺碧の空を自由に飛翔する
[人民日報2005/11/12]
2005年11月11日、オリンピック開催まであと1000日となった日に、同オリンピックのマスコットが紹介されました。発表されたのはそれぞれ魚・パンダ・聖火・羚羊・ツバメをイメージした“福娃”(福人形)。“五福”と総称され、“北京歓迎你”(北京へようこそ)に因んで“貝貝晶晶歓歓迎迎妮妮” と命名されました。
北京オリンピックの準備は2005年からいよいよ具体的段取りへ突入し始めました。年初、北京市は、2005年の重要作業として、施設の建設・オリンピックビジネスの展開・広報文化活動の推進・協議運営関係の整備・パラリンピックの準備の5つを掲げ、3月には、10万人近いボランティアを含む総計20万人の関係者の訓練に関する<指導意見>が組織委員会から出され、6月にはハートをかたどったボランティアマークも公開されました。更に、同月26日には、北京工人体育館で北京オリンピックのスローガン“同一個世界 同一個夢”(one world one dream)の発表会が盛大に行われました。
一方で注目されるのがマナー改善への取り組み。所構わずつばを吐く・大声で話をしたり喧嘩をする・不潔なトイレ・乱暴な運転と交通ルールの無視・押し売り・公共施設の破壊・競技場での野次、という過去の“当たり前”を是正しなければ、中国人の評判は地に落ちるでしょう。そこで、2005年初頭、北京政府は<人文オリンピック行動計画実施意見>を制定し、市民の資質向上・文化建設の推進・都市景観の形成・ボランティアの動員訓練という4つのプロジェクトを立ち上げました。そして、生活上のマナー・社会でのマナー・競技場でのマナー・職業上のマナー・校内でのマナー・国際上のマナーの6つのマナーを取り上げ、2ヶ月ごとにテーマを決め、この内一つのマナーに集中的に取り組むことにしました。何しろ、3年足らずの間に1500万の市民と数百万に上る外部から流入する労働者を教育しようと言うのですから容易では有りません。
ある調査では、北京のモラル水準はオリンピック開催に必要なレベルに達しているか、という問いに対し、楽観視した人はわずか9.1%とか。その危機感にこそ期待しましょう。
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