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 第220回 第11次5カ年計画−その1−

(2006年3月6日執筆)

春の全人代が開幕しました。今回の重要テーマはこの2006年からスタートする第11期5カ年計画。既に、昨年(2005年)10月に開催された中国共産党第16期5中全会で<中共中央提出関于制定十一五規画建議>が採択され、国内主要都市のブックセンターには解説本が出回っています。今回注目されたのが“規画”という言葉。10月12付の朝日新聞は早速、「従来の“計画”より緩やかな意味合いの“規画”という中国語を使い、名実ともに計画経済から市場経済に移行していることを印象づけた」と分析しました。
新5カ年計画が従来のそれと大きく異なり、特別の意味を持つのは、言うまでもなく、2001年のWTO加盟を踏まえた第10次5カ年計画(2001年〜2005年)の成果を踏まえ、21世紀前半の最大の国家目標である全面的な“小康社会”の実現へ向けた青写真をきちんと提示する必要があるからです。その意味で、第11次5カ年計画案は第10次5カ年計画の徹底した総括が大前提であり、それは、中国が本格的な国際化に対応できるか否かを左右する様々な問題を余すところなく描き出している万華鏡とも言えます。
2006年1月に国家統計局が修正公表した統計によると、“十五”期間中の中国のGDP年平均成長率は9%を超え、2005年の成長率は9.9%に達しました。外貨準備高は人民元切り上げ後も増え続け、2005年末で8189億ドル、貿易額も前年比23.2%増の1兆4221億ドル強に達し、“十五”スタート時の2.8倍、世界第3位に躍進しました。外資の導入も2005年が603億ドル、“十五”期間全体では2700億ドルに達しています。
個別の産業分野でもそれぞれ目覚しい発展がありました。1例を挙げると、自動車では2005年の国内販売台数が592万台と、日本本土の580万台を抜いて、アメリカに次ぐ世界第2位の自動車市場になっています。また、国際化の一つの指標である毎年の出入国者数は、2005年に遂に3億人を突破しました。そのうち、中国国籍者の出国数は3千万人を超え、観光出国者も約600万人に達し、香港・澳門(マカオ)を除くと、日本が目的地のトップにランクされました(ちなみに外国人入国者では、日本は韓国に次いで第2位)。
このような目を見張る発展が続く一方で、それに伴って様々な問題が浮き彫りになってきています。次回は新計画案をベースにそれらを吟味してみましょう。

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