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 第221回 第11次5カ年計画−その2−

(2006年3月13日執筆)

昨年(2005年)10月の第16期5中全会の<中共中央提出関于制定十一五規画建議>では7つの主要目標が提示されました。
第一は、「2010年に国民一人当たりのGDPを2000年の倍にする」。目標達成には“十一五”期間中年平均5.7%の経済成長が必要で、これに他の要素を加味し、今春の全人大政府活動報告で温家宝首相は7.5%という数字を掲げました。これに関わる問題の一つが人口増。“十一五”期間は第4次ベビーブーム期に当たり、気が抜けません。一方では人口抑制による急速な高齢化も深刻。“十一五”期間中、年金加入者は年平均1000万人増え、2010年には2.2億人に達すると予測されますが、先行きを考えると対処が難しい問題です。
第2は「エネルギー消費を“十五”比20%ダウンさせ、生態環境の悪化を抑制する」。2005年10月24日付の日経は、「建物一軒当たりのエネルギー消費量が先進国の2〜3倍、鉄鋼など主要産業の単位生産当たりのそれが世界平均の2.4倍という中国は消費効率を高めるだけでエネルギー需要の伸びを大幅に抑えられる」と報じています。今回、温家宝首相は、更に主要汚染物の排出総量を10%減少させる、という数値目標も掲げました。
第3は「知財権と有名ブランドを有する優良企業の育成」。2006年1月4日の人民日報によれば、中国企業で知財権のある独自の核心技術を持った企業は1万社中3社のみ。99%の企業は特許申請の経験がなく、60%の企業が自主ブランドを持っていません。近年、商標や実用新型・外観設計特許の申請量は世界一でも、特許申請100件中発明特許は18件のみ(外国企業では86件)、とのこと。更に71%の大中企業に技術開発機構がなく、販売収入の0.66%しか新製品の開発に当てていないことも指摘されています。
このことは裏を返せば、多くの企業が他の知財権を侵害しているという事実につながりますが、これが今、中国自身の首を絞める問題になっています。政府が懸命に独自技術の開発を奨励し、それに一部の民間ベンチャーが応えて漸く成果を出しても、すぐに真似されて利益につながらず、自力開発をあきらめてしまうのです。外資企業に対する知財権侵害を放置したツケと言えましょう。その結果、企業買収などで既存技術を獲得して儲ける安易なビジネスに走り、いつまでたっても独自技術の蓄積ができないのです。

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