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 第223回 トリインフルエンザ−その1−

(2006年3月27日執筆)

2004年秋から2005年春の大流行に続き、2005年秋から2006年春にかけてもトリインフルエンザが中国で猛威を振るいました。農業部の発表によると、2006年3月までの統計で35件が発生し、19万4千羽が発病して18万6千羽が死亡、2284万9千羽が予防の為処分され、人間は15人が感染し10人が死亡しました。
2005年初夏、まず、青海省で6000羽を超える渡り鳥の死亡が確認され、中国全土に緊張が走りました。渡り鳥への警戒を強めた政府は、秋以降の渡り鳥の季節到来に備え、全国に118箇所の観測点を設けるなど、対策に乗り出しましたが、それをあざ笑うかのごとく、10月にはいるとトリインフルエンザがその牙を剥きはじめました。
10月19日、内蒙古自治区呼和浩特(フフホト)市でH5N1型が確認され(2600羽が死亡)、24日には安徽省天長市(550羽死亡)、翌25日にも湖南省湘潭県で発生(545羽死亡)、湖南省は直ちに周辺3km以内を感染地区に、3〜8km地区を感染危険地区に指定し、感染地区を封鎖、鶏肉の流通を禁止し、2487羽を処分して無害化処理を施しました。更に危険地区では43750羽に緊急免疫接種が施されました。
11月に入り事態は急転回します。2日、温家宝首相は国務院常務会議で12項目の指示を出し、中央財政から20億元を拠出して対策基金とする方針を示しました。また、人民日報は緊急特集を組み、北京大学医学部衛生法研究室主任王岳氏の談話を掲載して、中国の法整備は、2004年に改訂された<伝染病防治法>や<突発公共衛生応急条例><国境衛生検疫法><食品衛生法><動物検疫法>に加え、トリインフルエンザに的を絞った国務院の<全国高度病原性トリインフルエンザ応急予案>、衛生部による救済治療・診療に関する諸対策など十分な対応能力を保持しているので、<法に基づいて落ち着いて対処するよう>呼びかけ、発生状況を深刻度によって4級に分け、それぞれに応じた対応を行うという農業部の<2005年秋冬高度病原性トリインフルエンザ応急実施方案>を紹介しました。
3日、18ヶ月ぶりに高度病原性トリインフルエンザ対策全国本部が復活したその日、渡り鳥の中継地点になっている遼寧省黒山県でトリインフルエンザが確認されました。6つの鎮にわたって8940羽が死に、2日後には15の郷や鎮に急拡大したのです。

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