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 第224回 トリインフルエンザ−その2−

(2006年4月3日執筆)

11月6日、人民日報は「既報の湖南省湘潭県付近で、3人が原因不明の肺炎にかかっている」という衛生部の発表を紹介、いよいよ人間への感染が疑われ始めました。7日、工商総局は市場緊急対策案を発動し状況に応じた3ランクの対策を提示、9日には全国監督管理検査班が発足して北京空港・京哈高速道路・北京鳥類市場で立ち入り検査を実施、北京当局は24時間厳戒態勢に突入、全国各地も地域別対策を講じ始めました。
しかし、トリインフルエンザはこれに反発するかのように、9日:遼寧省阜新市と錦州市、10日:錦州市の別地区、11日:湖北省京山県、14日:安徽省淮南市、15日:新疆沢普県とウルムチ県で矢継ぎ早に発生が確認されました。国務院は16日<重大動物疫情応急条例>を採択、また蔓延防止徹底の為に、家禽の処分やワクチン投与への補償・資金援助の強化や企業に対する税法上の特例措置などを含む9項目の緊急措置を決定しました。
まさにその日、湖南と安徽で患者2名の感染が確認され、人間への感染が現実になりました。同日の人民日報は中国疾病予防センター曾光氏のインタビューを掲載して警鐘を鳴らす一方、18日付では、年末までに35億羽にワクチン投与が必要だが、1日1億羽分のワクチン生産能力が有り問題ない、という農業部関係者の談話を紹介してパニック発生防止に努めました。しかし、その後も11/18、20、22(3件)、23、24、25、28(2件)、30日と発生が確認され、人への感染も次々に確認されました。
このような猛威に対し、当局の対応も遂に後手に回りました。<渡り鳥疫病監視システム一応完成>との発表が12月1日、また、6日付人民日報は、現場の問題として、河北省興隆県からの「防疫資金の欠如や労賃の保証がないことで防疫作業が進まない」という苦情を掲載しました。23日、WHOは、採取されたウイルスのサンプルがWHOに全く提供されていない事を明らかにし、また、農村監視システムの不備を指摘しました。
年明け後、トリインフルエンザ発生とヒトへの感染情報は漸減傾向は示しつつも春先まで散発的にもたらされました。2005年12月、衛生部はトリインフルエンザ・サーズ・重大中毒事件・放射能漏れなどに対する国レベルの項目別緊急対応チーム編成を提唱しましたが、今回の経験を生かした万全の危機管理体制構築が求められています。

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