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第225回 新段階に突入した鉄道整備
(2006年4月10日執筆)
中国では高速旅客鉄道網整備計画が始動する一方で、在来線の整備も着々と進んでいます。2004年1月、国務院は2020年までに営業距離10万キロ達成を目指す<中長期鉄道網計画>(総投資額2兆元)を策定しました。計画立案の主要な理由は、貨物輸送と旅客輸送が混在する非能率が急成長する経済の要請に追いつかないことと、急務となっている農村の発展・国内消費の喚起に鉄道整備が不可欠であることです。
ここ2年、鉄道部は全国31の一級行政区と戦略的協力合意文書に調印、新規着工案件は89件、投資額は6,000億元に上りました。2005年10月15日には青蔵鉄道の全線敷設祝賀式典が開催され、大秦線の年間石炭輸送能力倍増工事(1億トン⇒2億トン)も9月に完工しました。全国6大電力網・5大発電企業・380発電所・10大製鉄会社に石炭を供給するこの鉄道の輸送力アップは中国経済の発展に不可欠で、更なる能力アップを狙い、翌10月には河北省の曹妃甸港・京唐港に連結する遷曹線が着工されました。石炭輸送では朔黄線(山西省神池県−河北省黄驊港)も9月に完成、国に引き渡されました。この他、2005年には西部大開発重点プロジェクト渝懐鉄道(重慶−湖北省懐化)・浦東地区の港と鉄道を結ぶ浦東線第一期分の開通や後進地区への支線開通も多く報じられました。
新規着工分では旅客専用線の建設が急ピッチ。石家荘と太原を結ぶ石太線・北京と天津を30分で結ぶ京津線・武漢と広州を4時間あまりで結ぶ武広線・長江デルタと海峡西岸と珠江デルタの各経済圏を結ぶ福(州)厦(門)鉄道・合肥と南京を従来の4時間から1時間に短縮する合寧線など重要プロジェクトが目白押し。2006年1月に開催された全国鉄路工作会議では、在来線の第6次スピードアップとして2006年10月に旅客列車を時速200キロ、貨物列車を120キロにアップすることが本決まりになり、同時に2006年新規着工は87件、今後5年で新線建設17,000km・在来線の複線化8,000km・電化15,000kmを達成する、という方針が示されました。
2005年6月、浙江省で中国初の第3セクターによる鉄道、衢(州)常(山)線が着工されました。政府は鉄道建設・運輸・装備などの領域を開放し、2006年は資金の20%を地方政府・国有企業・私企業・外資などの資金で賄う方針です。