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 第228回 問われる商業モラル−その2−

(2006年5月8日)

2005年、国務院は<2005年全国市場経済秩序整頓・規範化活動の要点><商業詐欺行為特別取り締まり活動展開に関する国務院弁公庁の通知>を矢継ぎ早に発し、これにあわせ、例えば北京市は前述の小売販売促進行為規範化を、山西省も<山西省商業小売企業販売促進行為規範(試行)>を打ち出すなどしています。9月には商務部・国家発展改革委員会など11部門合同で<誠信興商(信頼ビジネス)宣伝月間>が大々的に展開されました。
企業の信用度ランク付けも益々盛ん。8月に開催された全国商工部門企業信用分類監督工作会議によれば、全国の工商機関は既に全国の企業の66.5%に当たる510万社の格付けを終え、今後は営業取り消し処分を受けた企業のブラックリスト作成に取り掛かるとのこと。すでにネット上にブラックリスト129万社を含む639万社の情報が蓄積され、非公開で各行政レベルに提供されています。各業界の対応も始まり、例えば建設業界は8月に社会信用度AAA級50社を、旅行業界も12月に第一次誠信旅行社名簿24社を発表しました。
違反企業に対する取り締まりも2005年秋からだんだん厳しくなってきました。山東省では166の企業が“契約遵守企業”の名称を剥奪され、河南省では40の金融機関が<銀行権利擁護条約>に調印、情報を交換して問題企業を排除する手段に出ました。また、上海税関は税を滞納している企業にイエローカードを突きつけ、30社近くを降格処分にし、年明けには、同じ上海の23のホテルが星によるランク付けから除外されました。
2006年春から人民日報は、高すぎる医療費の問題などにからむ反商業賄賂キャンペーンを盛んに進めていますが、今回始まった商業モラル確立への努力が掛け声倒れになるか否かは、中国の今後を占う上で極めて重要なポイントであると言えましょう。大企業の不祥事も次々に暴かれています。急成長をとげ、中国を代表する製薬会社になった三九製薬のトップ趙新先逮捕のニュースは、コーポレートガバナンスの深刻な欠如を示しています。 
「企業の社会的責任とは一体何なのか?」。<企業の『責任欠陥症』を正そう>(2005年12月19日人民日報)という文の中で呉焔氏は問いかけます。「GDPが平均で400〜1000ドルの中国に、先進国でGDPが3000〜10000ドルの時に出現する環境汚染がなぜ出現するのか?」利益追求にのみ狂奔する中国企業の対する厳しい批判が綴られています。

三瀦先生のコラム