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 第231回 土地収用方法改善への取り組み−その1−

(2006年5月29日)

国務院発展研究センター農村部韓俊部長へのインタビュー記事<農民の土地権益を尊重することは大変重要>(2005・12・9付人民日報)は、農村の土地収用問題を把握する格好の記事なので、まずその要約を紹介し、次回、それについて論評したいと思います。
韓俊:現在、農民の上訴の60%が土地問題。土地の大量収用が農民の土地を奪っている。先進地域のある県では、失地農民が28%に達し、西部の人口30万あまりのある県では、数年間で3万人あまりが土地を失った。
韓俊:全国で毎年300万の農民が土地を失い、現在、累計失地農民は4000〜5000万人、うち、職のない者1000万人以上(失地農民の20%)、46%の失地農民が失地以前より生活レベルが悪化。土地1ムー当たりの補償額は、ある先進地域の省で9800元で、都市住民の1年間の収入にしかならない。
韓俊:(1)工業化・都市化の過程で農地の転用は避けられないが、速度が速すぎ、面積が多すぎ、失地農民が益々増加(2)失地農民の補償が低すぎ、今後の生活設計が立たない(3)社会保障・再就職が困難、等の問題がある。根本原因は利益分配に有り、中央が「工業が農業を養い、都市が農村を牽引する」という方針を打ち出しても、土地問題では、土地収用から生み出される利益は工業へ都市へと流れている。これでは「農業が工業を養う」だ。
韓俊:失地農民は、土地による後ろ盾も無く、都市住民のような社会保障も無い、社会保障の“真空地帯”にいる。彼らは数年で補償金を食いつぶし、支えが無くなっている。浙江省では全国に先駆け、生活保障型(最低生活保障と養老保険の中間に保証レベルを設定、保証資金は個人・所在する村・政府で負担)/社会保険型(都市労働者養老保険に一括編入)/両者組み合わせ型(定退者・勤労者・未成年者別に対策)に分け対応しているが、全体的には、医療や老後について都市住民とまだ大きな差がある。
韓俊:今後必要な抜本的対策:(1)土地収用の必要区分の明確化と範囲の縮小(2)土地収用の専門法規整備による、農民の土地財産権保護を強化する財産権取引のプロセスの平等性の実現(3)各行政府が土地譲渡金の一部でシステムを構築、失地農民の再就職に向けた職業訓練を行うこと(4)同様にして医療や老後に関する社会保障制度を確立すること。

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