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第233回 消費税の改革
(2006年6月12日)
第10次5ヵ年計画期間、中国の税収は年平均19.5%の伸びを示し、2005年は遂に3兆元の大台を突破しました(関税と農業税を除く)。主要な増収源は所得税と流通税で、それぞれ7605億元と1兆6564億元(前年比30.9%・18.2%の伸び)、税収全体の伸び率に対する貢献度では所得税が34.8%と前年より9.2%も拡大しました。
こういった状況の下、2006年4月1日から、1994年消費税導入以来12年振りの消費税改革が行われました。消費税改革の趣旨の一つが税収基数の拡大にあることは勿論ですが、今回の改定にはより幅の広い思惑が込められています。2006年3月24日の人民日報に掲載された『政策解読』によれば、今回の消費税改革の3つの原則とは、1) 消費税が持つ調節機能を効果的に発揮させて関連製品の生産や消費を適切に誘導する。
2) 税率の構成をより合理的にし、税の公平を実現し、調節の役割を一層強化する。
3) 税の徴収管理がしやすくなるようにし、税の徴収漏れを防ぎ、財政収入を確保する。具体的には、第一にゴルフのボールや道具(10%)・高級腕時計(20%)・レジャーボート(10%)・割り箸(5%)・木製の床板(5%)などが新規課税品目に。また、従来からのガソリン・ディーゼルオイルを加えた精製油の税目が設けられ、更にナフサ・溶剤油・潤滑油に1リットルあたり0.2%、燃料油・航空燃料に同0.1%が課せられました。次に、スキンケア・トリートメントが税目から消え、スキンケア関係の高級化粧品は化粧品税目に組み入れられました。第3が白酒・小型自動車・バイク・タイヤなど税率の調整です。
自動車では、排気量によって3ランクに分けられていたのが6ランクに拡大、税率の幅も3〜8%が3〜20%に拡大しました。ちなみに1500cc以下では3%と1000cc以上の車にとって2%のダウン、4000ccを越える車は20%と、12%のアップとなりました。
改革の影響で価格の上昇が目立つのが住宅の木製の床板。3月末は駆け込み需要で10%程度もアップしました。一方、割り箸をやめてプラスチック製の箸に切り替える店も出始めていますが、そもそも肝炎の伝染が心配で始まった使い捨て箸。今度は衛生面の心配が新たに生じそうです。5月1日からは詳しい徴収管理規定が制定され、主管税務機関に対する新消費税納税者の納入申告も始まっています。