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 第234回 義務教育改革−その1−

(2006年6月19日)

2006年1月4日、国務院常務会議で<義務教育法(修訂草案)>が大筋承認されました。1986年に施行され、9年制義務教育の普及(国民の平均教育年数:1985年4.3年⇒2001年8.1年)に貢献した従来の<義務教育法>に対する今回の見直しは、義務教育の経費に関する改革、教師や施設など教育資源格差の解消、教育内容の見直し、教科書販売の規範化と透明性の確保などが中心になっています。
義務教育経費については、2005年12月24日に出された<農村義務教育経費保障システム改革を深化させることに関する国務院の通達>で、2006年、西部地区農村の義務教育段階の小中学校で学費と雑費を全額免除し、2007年にはそれを中部地区と東部地区に拡大するという方針が出されました。2006年2月23日に公表された第一回国家教育監督指導報告は、2000年〜2004年の全国2800あまりの県の年度別教育統計資料を基に、教育への資金投入・学校経営の条件・教師の資質という3点から分析したものですが、それによると、2004年の中学生一人当たりにかけた平均公費は304元、西部地区では121元、ゼロという県も142あり、まずは、農村、特に西部地区の支援が最重要課題になります。  
2005年、中央政府は70億元を投入して貧困家庭への支援を強化し、中西部地区の3400万名の生徒に教科書を無料支給、1700万の生徒の学費や雑費を免除、また、農村の学校の寄宿舎建設にも15億元を投入しています。東部地区の山東省でも、2006年から2年間で238万名の農村小中学生に新しい勉強机を配布するというニュースが伝わっています。
今回の改革のポイントは、義務教育経費を政府が財政上で独立項目として扱って負担し、省政府に予算を援助、同時に使用状況の透明度を高めさせ、監督を強化することです。中国の義務教育の普及率は現在95%、小学校では99%と言われていますが、長期欠席児童などの統計的扱いが曖昧で、今回の改善で実質的な通学率の向上が期待されます。ただ、義務教育の完全無料化を2010年に全国の農村で、2015年には全国的に実施するという目標が時期を繰り上げて実施されつつある中、これまで学校に通えなかった児童がどっと押し寄せると校舎や勉強机それに先生の不足が一気に噴き出るのは目に見えており、経費面で十分サポートできるかが懸念されます。

三瀦先生のコラム