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第240回 2006:長期休暇に見る庶民の動向
(2006年8月7日)
休暇の過ごし方の変化は生活や消費の変化を如実に反映します。1999年秋以来18回目の長期休暇となった2006年の春節からまず眺めてみましょう。人民日報(2/23)によれば、交通手段別旅客輸送延べ人数は、道路18億7700万人・鉄道1億4900万人・航空1760万人・水上2785万人で、合計20億人を突破(前年同期比5.3%増)、その中で航空が18.4%の伸びを示したのが注目されますが、全体としては急速な増加から安定的増加に転じつつあります。全国大型小売店百社の期間中売上高は31.98億元と12.65%の伸びで、前回の伸び率を0.5ポイント下回りました。特筆すべきは、カードを使ったPOSやATMによる現金扱い高が100億元を突破し、それぞれ去年を35%・46%上回ったことでしょう。
1月27日付の<年味調査>という記事によると、旧正月中40.7%が地元にとどまり、33.7%が故郷に帰省し、20.2%が旅行に、5.4%が親戚友人を訪問するとのこと(以上は北京市民の例)。新年の挨拶は、41%がショートメール、36%が電話、18%が年始周り、3%がネットのメールなどで、年賀状はわずか2%。その他、正月の風習に見られる変化では、一時厳しく禁止された爆竹の使用が全国170の都市で緩和され、年越しの晩餐(“年夜飯”)が外食から家庭での団欒に回帰し始めました。
各地の伝統的な民族行事、例えば北京の“廠甸廟会”・南京の“夫子廟灯会”・成都の“喜神大廟会”など各地の“廟会” (縁日)行事も年々盛大になってきました。一方、春節に旅行に出る習慣がある広東省では海外旅行がブームになっていますが、安い一般ツアーが敬遠され、サービスがよく、ガイドもしっかりした安心ツアーが大人気でした。
五月の“黄金周”は旧正月のような定番行事が少ないだけ、庶民の過ごし方の変化がわかります。同期間の観光客は延べ1億4600万人、観光収入は585億元とそれぞれ20.0%・25.2%増で、宿泊型の伸び率が日帰りを大きく上回りました。過ごし方も多様化して、ヨガなどの健康スポーツや潜水・バンジージャンプなど新しいスポーツが人気。ラフティングや洞窟探査など冒険型レジャーも増えています。自然との触れ合いを求める人、自宅で読書などをしながらじっくり英気を養おうという人、それぞれの人がそれぞれに合った過ごし方を追求するというレジャーの個性化が急速に進んでいると言えましょう。