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第244回 三峡ダムほぼ完成!
(2006年9月11日)
2005年5月20日午後2時。甘粛省出身のベテラン労働者魏万河さんによって最後のコンクリートが流し込まれ、全長2309mに及ぶ海抜185mの三峡ダム本堤防が完成しました。堤防の高さは最高で181mにも達しています。
“夢想了70年、論証了40年、争論了30年”(構想70年、論証40年、論争30年)といわれた世紀を跨る大事業<三峡ダム建設>は、1992年の7期全人代第5回会議で建設が承認され、94年12月14日に着工式が執り行われました。その後、95年4月に左岸発電所一期工事が始まり、97年11月に本流のせき止めに成功、2003年、ダムの貯水量は高さ135m、127.481億立方メートルに達し、2本の船舶航行路も完成、更に左岸2号・5号発電機が発電を開始し、2005年に予定より1年早く左岸14台の発電機70万kwが発電に漕ぎつけました(2008年には26台の発電機すべてが発電開始予定)。こうしたさまざまなプロセスを経て、遂に今回の本堤防完工の日を迎えたのです。
三峡ダムは総面積1084k㎡で、これにより埋没する陸地は湖北省と重慶市に跨る632k㎡に及び、ダム建設によって立ち退きを余儀なくさせられた住民は総計120万人(重慶市だけで103万人)に上り、彼らを支えるべく、これまで20の一級行政区や10の大都市がこれら移民に対し“対口支援”(パートナー支援)を行ってきました。2006年4月、北京でその苦労をしのび、協力を讃える<三峡移民精神頌>という展示会が催され、また、重慶の方言を使った<移民金大花>という劇も上演されました。役者はすべて三峡移民で、既に重慶各地で公演を重ね、20万人が見た、とのこと。国家の都合で父祖伝来の地を立ち退かされ、故郷を後にせざるを得なかった人々へのアフターケアこそ、“以人為本”(人間中心)をスローガンとする現政権の真価を問われるものと言えましょう。移転先住宅の建築が杜撰だったり、水道など基本的な生活インフラが不備だったり、という事例ももれ伝わっています。行政の息の長い地道なケアが求められます。
移転したものの生活手段を失った地域内住民を救済するため、現在“海爾”・“娃哈哈”など100社あまりが同地区に進出し雇用を促進しています。また、工事の完成とともに観光客も急増し続けています。地域発展を図ることも重要なテーマと言えましょう。