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第246回 保険業界の動向-その2-具体的状況
(2006年9月25日)
ここ数年の保険業の発展は目覚しく、保険代理企業など保険仲介業者も急増、2005年末時点で1,800社に達し、業績も順調になっています。様々な分野の保険も開拓され、例えば中国人民健康保険社は2005年6月に18〜59歳の人を対象に、長期介護・老人介護・老人の重大疾病などをカバーする “全無憂”という全国初の長期介護保険を売り出しましたし、7月1日からはエンジン車両交通事故責任強制保険条例が施行され、路上を走るすべてのエンジン車両に保険加入が義務付けられました。責任最高限度額は全国一律6万元で、具体的には、死亡傷害賠償限度額5万元、医療費8000元などとなっています。また、6人乗り以下の家庭用自動車の場合、1050元の掛け金で6万元が保障されます。
様々な商品が出回る一方で、保険会社の体質改善も大きな課題になっています。“覇王条項”すなわち保険会社に有利な違法条項の存在もその一つです。2005年10月に浙江省は全国に先駆けて省内の主な保険会社20社の577の契約内容をチェックしましたが、それによると、経営者の不当な責任逃れ・消費者への過重な責任負担の押し付け・消費者の主たる権利の排除など2100条に上る不当条項があった、ということです。
保険営業員の管理体制も抜本的な是正が必要です。全国150万人の営業員はほとんどがチームで動き、内部には厳しい階級制度があり、流動性が高いなど多くの問題を抱えています。その一方で、保険営業員は法律で同時に複数の保険会社から委託契約を受けることができない反面、何の保証もなく、自分の人脈を搾り取られればポイ捨てされるのが日常茶飯事。これでは倫理的意識の向上は望むべくもありません。そこで、2006年、政府は<保険営業員管理規定>を打ち出し、業界の指導に乗り出すとともに、150万人の営業員のデータベースを作成、2007年から消費者に必要情報を提供することになりました。
2006年6月、国務院は保険会社が保険資金を運用して商業銀行の株式を取得することや保険総資産の15%以内で海外投資をすることを認める方針を決めましたが、そうなれば保険会社のコーポレートガバナンスの強化が厳しく求められることになります。その意味で、最近出された<保険会社の統治構造を正すことに関する指導的意見(試行)>がどこまで効果を挙げるかが大きな鍵となります。