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 第247回 青蔵鉄道の開通

(2006年10月2日)

「雪の高原の尋常ならざる酷しい条件と格闘し、驚異的な勇気と精神力を発揮して想像を絶する様々な困難を克服し、心血を注ぎ、汗水たらして人類鉄道建設史上に輝かしい一ページを記した。このことは、中国鉄道建設史上における偉大な壮挙であるばかりではなく、世界鉄道建設史上の一大奇跡である」。2006年7月1日、着工以来5年の歳月を費やして建設された青蔵鉄道(ゴルムド−ラサ)の開業式が青海省のゴルムドとチベットのラサで同時に挙行され、胡錦濤国家主席はゴルムドでのスピーチで心から関係者の苦労をねぎらいました。ゴルムド−ラサ間は全長1142キロ、海抜4000メートル以上の区間が960キロを占め、最高地点は5072メートル、工事は困難を極めました。550キロもある永久凍土区間の工事、高山病や疫病対策、更に自然環境保護問題という“三大難”に真っ向から取り組み、なおかつ工期を1年も短縮したことは大いに賞賛されてしかるべきでしょう。
6月28日、北京・成都・西寧・ラサ各駅でチケットが売り出されました。切符購入者に健康カードの提出が求められるたのも青蔵鉄道ならでは。7月1日夜9時30分、ラサ行きの最初の列車が乗客800人余りを乗せ北京駅を発車、47時間25分かけて7月3日夜8時55分無事ラサに到着しました。料金は寝台車1262元・一等車813元・二等車389元。
時速160キロで走る青蔵鉄道で特筆されるべき第一は酸素不足対策。車内を密閉し、酸素を多く含んだ空気を新鮮な空気や回流する空気と混合して客室に送り込み、更に乗客が必要に応じて吸入を受けられる設備もあります。第二はし尿・ゴミ処理対策。完全内部処理システムで、ラサ行きの列車はゴルムドで汚物箱・汚水箱・ゴミ箱を空にすることが求められます。汚物箱は容積400〜450リットルで42時間、汚水箱は容積600〜800リットルで16時間連続使用が可能で、沿線には15箇所の汚水処理場が設けられています。
青蔵鉄道開通により、チベットでは観光客が年間40万人増えると試算され、受け入れのインフラ整備も急ピッチ。ホテルの近代化・交通標識の整備・食品の衛生・疫病対策・トイレの改善などが精力的に進められています。青蔵鉄道にはチベット語と英語ができるチベット族の大学生が100名あまり採用されましたが、この鉄道の開通がチベットにどんな変化をもたらすのか、その行方に関心が集まっています。

三瀦先生のコラム