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 第248回 脚光を浴びる環北部湾経済圏構想−その1−

(2006年10月10日)

「汎北部湾経済協力を打ち出すより深い意味は、地域協力の新しい枠組みを構築しよう、というものである。その新しい枠組みとは、汎北部湾経済協力地域・メコン河流域地域という二つのプレートと南寧−シンガポール経済回廊という中軸によって構成されるもので、アルファベットのMに似ている。また、その内容となる海上協力(Marine〜)・陸上協力(Mainland〜)・メコン河流域協力(MEKONG〜)」は全てMが頭文字で、そこで、これを<中国−ASEAN“M”型地域経済協力戦略>と呼ぶ。」
2006年7月20日、広西チワン族自治区の区都南寧で開催された<環北部湾経済協力フォーラム>で、劉奇葆同区委員会書記はこのようにスピーチしました。
「北部湾」とは、広東省の雷州半島・海南省西部・広西チワン族自治区南部沿海地区・ベトナム北部沿海地区に関わる地域を指します。この中で広西チワン族自治区は、東は珠江デルタ経済圏など東部沿海発展地域に接し、西はASEAN10カ国に接して中国−ASEAN間FTAで最前線としての役割を果たし、自らは貴州省・雲南省とともに南昆貴経済圏を形成して、石炭や各種希少金属などの地下資源が豊富な大西南の海への出口として西部大開発の一翼を担い、更に重慶など中国内地とは、高速道路や鉄道などが整備され輸送時間が大幅に短縮されたことにより緊密な関係を構築しつつあります。長江以南をほぼ包含する巨大な汎珠江デルタ経済圏が形成されつつある中で広西チワン族自治区の役割が俄然クローズアップされ、“南北欽防”(区都南寧と北海・欽州・防城の3つの港)の機能アップが重要項目として取り上げられるのも当然の趨勢といえましょう。
この広西チワン族自治区を中心とした北部経済区と同時に構想されているのが汎北部湾経済協力地域即ち“環北部湾経済圏”。2004年11月、中越両国首相会談で提起された“両廊一圏”構想とは、南寧−ハノイ−ハイフォンと昆明−ハノイ−ハイフォンの2つの経済回廊に“環北部湾経済圏”を加えたもので、北部経済区に「海のASEAN」ベトナム・マレーシア・シンガポール・インドネシア・ブルネイ・フィリピンの6カ国を加え、新しい地域協力の枠組みを形成しようというもの。もちろん、同海域を巡る資源開発とも大いに関係しています。くわしい内容は次回に。

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