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第249回 脚光を浴びる環北部湾経済圏構想−その2−
(2006年10月16日)
ASEAN諸国を包含する“環北部湾経済圏”構想のキャッチフレーズは「争いの海を協力の海へ」。特にベトナムとは中越戦争以来ギクシャクした関係が続いていましたが、2年前に<中越北部湾境界画定協定>と<中越北部湾漁業協力協定>が発効、その後、両国を結ぶ高速道路の建設(南寧−友誼関)や観光開発での協力も進められました。また、2005年には<北部湾石油天然ガス協力に関する枠組み合意>も交わされ、北部湾地下資源の共同開発が視野に入ってきました。こういった関係改善のまさに当事者たる立場にあるのが広西チワン族自治区。
同自治区を中心とした北部湾経済区は1595キロの海岸線を有し、水深の深い岸壁建設可能部分が162キロに及びます。しかも域内・域外との鉄道・高速道路網は昨今飛躍的に充実しつつあります。鉄道部と広西チワン族自治区による鉄道網整備包括プランによると、400億元かけ4年間で在来線の改造と新線建設を進め、現在3000キロの営業距離を3600キロに高める計画。既に南寧から防城港に至る鉄道の改造が完成し輸送能力が4倍近く(約1000万トン)アップし、南寧から貴州省の省都貴陽に至る鉄道も2007年には従来より9時間短縮されます。現在、呑吐能力が3400万トンの同地域が潜在的可能性に富んだこの海岸線を活用し、港湾機能を一層充実させれば、地域の発展には大きなプラスです。
同自治区では既に2004年に総額60億元あまりを投入し、37に上るインフラ建設プロジェクトをスタートさせていましたが、2006年3月には、北部湾(広西)経済区計画建設管理委員会を正式に発足させ、7月6日に第2次インフラ建設として新たに58億元を追加投入し、33のプロジェクトが北海・欽州・防城で一斉に着工されました。このような同自治区の発展プランは一方で国の西部大開発計画とも密接に関係しています。国務院は先頃<西部地区の特色ある優れた産業の発展を促進することに関する意見>をまとめ、エネルギー源・石油加工・大型アルミ材の加工など6つの重点領域を指定し、国による支援策を打ち出しました。こういった国の強力な支持と上記の交通インフラ整備を踏まえて、同自治区はこのほど北部湾経済区に南寧を中心とした物流・流通の一大商業貿易基地を建設する計画を正式にスタートさせ、一層の飛躍を目論んでいます。