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第251回 自動車市場の動向
(2006年10月30日)
2006年7月1日、輸入自動車及び自動車部品に関する関税が、小型乗用車・ジープ・小型バス・完成車は28%から25%に、自動車部品は13.8%〜16.4%から10%に引き下げられました。WTO加盟時に約束した数値目標を果たしたわけで、過渡的措置は一応終了したことになります。この関税引き下げを視野に入れ、2005年には輸入割り当ての廃止、ブランド自動車の販売管理方法や完成車の特徴に関する基準の設定など様々な政策が打ち出されました。その中で注目されるのが、国外の自動車メーカーに権限を付与された企業だけが輸入と販売ができるようになったことで、輸入車の価格の安定と購入者へのアフターサービス強化につながる措置と言えましょう。
一方、自動車輸出も増加傾向を示しています。既に2005年時点で輸出台数は輸入台数を上回っており、自動車輸出拡大が夢ではなくなってきました。とはいえ、輸出量は2005年はまだ国内生産台数の1.5%に過ぎず、先進諸国の40%以上に比べれば微々たるものにすぎません。中国は世界四大自動車生産国の一つですが、生産能力に対する実質稼働率は2005年末時点で完成車83%・自動車部品68%と低く、輸出による稼働率の改善が急務。政府も政策面での後押しに力を入れていますが、輸出を振興するには、労働集約型に頼る安価な部品からハイテク関連の高付加価値部品への転換や海外販売網・サービス網の展開など、取り組むべき多くの問題点があります。
中国の自動車市場は今後も活発な購買意欲が続くと予想されます。<2、3級市場が希望を育む>(2006年2月6日人民日報)という記事は、その理由を以下のように述べています。「車の値段と一人当たりのGDPの割合を示すR値が2〜3になると乗用車市場が高度成長期に入ることは、過去の日本や韓国が実証している。2003年、広州・深圳・北京・上海が3.3、3.0、5.0、3.5になり、自動車が爆発的に売れた。しかし、2004年はこれに次ぐ市場が育たなかった」。しかし、「2005年、江蘇・浙江・山東・広東など第2クラスの自動車市場の販売量が前年比40%増え、河北・河南・遼寧・四川・福建・広西・山西・雲南・天津など第3クラスの市場では増加率が50%を超えた」「2009年には、中国全土のR値が3に達する。その時、多くの家庭がマイカーを持つようになるだろう」。