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第254回 環渤海湾経済圏と天津浜海新区
(2006年11月20日)
胡温体制の最大の課題である東北振興や西北部の活性化にとって、窓口となる環渤海湾経済圏の発展は不可欠の条件です。過去、北京と天津の意地の張り合いなど、とかくチームワークに問題があった域内各都市でしたが、2006年6月には北京・天津・河北・遼寧・内モンゴル・山西・山東の7省市の技術管理部門が環渤海技術移転連盟を立ち上げ、環渤海湾地域における科学技術産業化の前途に道を切り開き、前後して中国農業銀行も環渤海湾地域内22都市の農業銀行と<戦略的協力枠組み合意>を締結、長江デルタ・珠江デルタに続く第3の地域協力システムを構築するなど、漸く一体化の努力が始まりました。2006年7月、国務院は2005年の<北京市都市総合計画(2004-2020)>に続き、<天津市都市総合計画(2005-2020)>を承認しましたが、その中で特に天津に対し、北京との協調を強化し「首都・環渤海・北方地域に貢献する機能を高める」よう求めました。
この総合計画では“一軸二帯三区”と呼ばれる配置が構想されていますが、その中の一つ、東部浜海発展ベルトの中心に位置するのが天津浜海新区。1994年に成立、2006年からの第11次5ヵ年計画で重点開発地域に指定された同区は、総面積2270平方キロメートルと、上海浦東開発区の4.3倍に及び、すでにモトローラ・三星・トヨタなど2000社あまりの外資系企業が進出しています。浜海化学工業区・海港物流区などが肩を並べる一方、2006年6月には天津港東北部の東疆港区が上海洋山保税港区に次ぐ第2の保税港区として承認されました。また浜海新区内の天津港は現在年間呑吐量が2.4億トン(中国第4位、世界第8位)、コンテナ取り扱い量は480万ケースですが、2010年には3億トン、1000万ケースに達する巨大港になると推定されます。同区ではまた、循環経済が特に重視され、深刻な水不足に対処するため泰達新水源科技開発有限会社を設立、同区内の工業排水を残らず処理し、更に海水淡化会社では日量5万トンの淡水が生産されています。
2005年7月に着工された京津都市間鉄道は最短で3分間隔で運行され、両都市を30分で結びます。北京オリンピックまでには完成の予定ですが、この鉄道が同区の更なる発展に大きなインパクトとなることは疑いありません。2010年には30万以上の新規雇用が創出されるという天津浜海新区の発展振りにはしばらく目が離せないようです。