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第255回 エネルギー節約待ったなし−その1−
(2006年11月27日)
2006年も半ばにさしかかった6月以降、人民日報に“節能”(エネルギーの節約)の記事が頻繁に掲載されるようになりました。これにはわけがあります。
2006年上半期の全国単位GDPエネルギー消費量は前年同期と比べ0.8%増(石油及び石油化学産業8.7%増・石炭産業5.5%増)。第11次5カ年計画<綱要>によれば、同期間の単位GDPエネルギー消費量削減目標は20%で、2006年は4%程度が目標だったわけですから、このままでは到底目標達成は困難です。
もちろん、中国政府が何もせずに手をこまねいていたわけではありません。例えば2006年1月1日から<再生可能エネルギー法>と関連9規定が続けざまに施行されました。しかし、中国の再生可能エネルギー(太陽エネルギー・風力・地熱・潮力等)利用量は現時点でブラジルやインドより低く、まだ始まったばかり。発展させればエネルギー不足や環境汚染の改善に直結しますし、新しい産業の育成・雇用の創出にもつながることは間違いありません。
1月24日には、15の組織からなる<エネルギー法>起草チームが国務院の承認を経て正式に発足、資源節約型・環境調和型社会の建設、循環経済の推進、クリーン生産の促進、低コスト・低エネルギー・低汚染・高効率経済成長モデルの加速などを盛り込んだ法律の整備に取り組み始めました。年初から建設部が<エネルギー節約建築管理条例>のたたき台を公表して幅広く意見の収集を行っていましたが、<エネルギー法>起草チームも2006年5月1日〜12月1日の期間、各界の意見を求めると同時に、アンケート調査や郵便・電話・メール・ファックスなどの方法で幅広く意見の収集を行っています。
世界第2位のエネルギー消費国になった中国。しかし、第2次産業に頼りすぎ、しかも
エネルギー高消費型産業に重点を置いたその経済発展は、単位GDPエネルギー消費量が先進諸国の数倍といういびつな結果をもたらしています。今後いかにして、高度な技術を持ち、エネルギー消費が少なく、高付加価値の産業へ転換するか、また、第3次産業へ比重を移していくかが不可避的な問題として立ちはだかっていることは明らかです。
次回は各地の取り組みを具体的に検証して見ましょう。