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第257回 林業の改革−林権制度改革−
(2006年12月11日)
2006年1月、国務院は黒龍江省伊春市で国有林制度改革の実験を行うことを決め、6月には、林業局が3万ヘクタールあまりの国有林を民有林に変える実施方案にゴーサインを出しました。この実験は、国有林の所有権と用途を変えない前提に立ち、境界線を引きやすい場所の国有商業林を林業農家に各戸5〜10ヘクタール請け負わせるもので、請負期間は50年以内、対象は同市内5つの林業局各3箇所計15箇所、合計8万ヘクタールの地域で、有資格者は各林業局に登録している林業従事者。ただし、同機関幹部や既に退職しているものは対象から除外され、請負人には該当地域の森林経営権・材木所有権・処置権・収益権が付与されると同時に、相応の責任も義務付けられました。
2003年6月、中共中央・国務院から<林業発展を加速させることに関する決定>が出されました。新中国成立以来、林業改革は、第一段階:土地改革時代の“分林到戸”、第二段階:農業集団化における“山林入社”(合作社への編入)、第三段階:人民公社期の集団所有・統一経営、第四段階:改革開放初期の“三定”(山権・林権の安定/自留山の画定/林業生産責任制の確定)といったステップを経、今回が第五ステップになります。これに対し、すぐさま福建・江西・浙江・遼寧などで、集団所有林について所有権と経営権を分離させ、財産権を明確にし、経営の自由度を高め、税を軽減し、利益を保証し、請負権の流動性を高め、権利と責任を明確にすることなどを内容とした林業改革が始まりました。
例えば集団所有林が省の森林の90%を占める福建省では、2003年から全省で改革を推進し、12000の村で村民代表大会を開催、集団経営の山林を人口に応じて各戸に均等分配し、山地の所有権は集団に属するものの、材木の所有権と山地の使用権は林業農家に属し、その権利は数十年間変更されること無く、法律的な効力を有する林権証を交付する、としました。また江西省では2004年から改革に着手、2007年7月までに対象村の97%に当たる11700村で改革を完了、7800万ムーの森林の財産権が確立され、また、請負・リース・株式制・合作経営や譲渡・競売(全省で12箇所の競売所を設置)、更には外資の単独経営など様々なスタイルが出現しています。2006年は、集団所有林の林権制度改革・国有営業場改革・国有林区改革が全国的にスタートした年として記憶されるでしょう。