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第259回 証券市場の動き
(2006年12月25日)
低迷が続く証券市場改革のため、中国政府は2005年4月、上場企業の非流通株解消を目指す“股権分置改革”をスタートさせ、上海・深圳両証券取引所でIPO(新規上場)や既存の上場企業の新株発行を停止させました。同年9月には<上場企業“股権分置”改革管理規則>が公布され、更に2006年2月には非流通株を解消した358銘柄を対象とする株価指数の公表を開始しました。3月末には両証券取引所A株上場企業1354社の半数以上に当たる728社が改革を完了(「G株」)または改革に突入、これを受け、政府は5月、一般投資家保護のため発行価格に条件を設けたり、上場で得た資金の不正流用を防止する内容を加えた<上場企業証券発行管理規則>を施行、同日から申請の受付を開始しました。
同月、新規上場についても<新規株式公開上場管理規則>が施行されました。その中には、会社設立後3年を経過し、なおかつ最近3年間が黒字でその累計純利益が3000万元以上なくてはならないなど、安易な上場を阻止する規定が盛り込まれ、また、国有企業の、業績の良い部門だけを切り離して上場させ、水面下ではつながっているという手法にもはっきりとした歯止めがかけられました。
一方、証券市場の安定を図り、企業のコーポレートガバナンスに対するチェック機能を高める目的で、中国人民銀行と国家外国為替管理局は2006年9月1日から<適格外国機関投資家(QFII)国内証券投資管理規則>を公布、実施しました。これは国務院が出した<資本市場の改革開放と安定的発展推進に関する若干の意見>に沿ったもので、上海や深圳の証券取引所のA株(人民元建て)に投資するにはQFIIの資格を取得する必要があり、2006年8月時点で40社以上がこの資格を得ています。日本企業でも野村證券・日興アセットマネジメント・大和証券SMBC・第一生命などは既に2005年末時点で資格取得済みです。今回の改正は、資格取得のハードルを緩和し、基金管理会社や保険会社の総資産額を100億ドルから50億ドルに緩和、保険会社についても会社設立後30年という基準を5年に短縮し、さらにその他の機関投資家、例えば養老年金・慈善団体・贈与基金団体・信託会社・政府投資管理会社にも設立後5年以上、管理もしくは保有資産50億ドル以上という参入資格を定め、積極的な関与を促しています。