企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

LastUpdate:

 第263回 観光マナー論議−その2−

(2007年1月29日)

「中国は古来“礼儀之邦”と呼ばれてきた」。マナー向上にはまずプライドに訴えるのが一番と、このところこの言葉が頻繁に引用されるようになりました。「国内旅行は出身地区のイメージを代表し、海外旅行は中華民族全体のイメージを代表するのだ!」(“人民網”)、「海外旅行者は中国のイメージ大使だ」との指摘も。中国人が顰蹙を買う行動と言えば、まずご存知「やたらにつばを吐く」と「手鼻をかむ」。また、ロシア在住の中国人は、「中国人を日本人や韓国人と見分ける方法は大声で話をしていることだ」(人民日報2006.9.1)と指摘。確かに日本でも中国人観光客が喫茶店に入ってくると、あちこちで大声で話すから他の客はみんな迷惑顔になります。この他並ばないのも常に提起される問題。
2006年10月13日付人民日報は第5面全面を使って国慶節長期休暇の総括を掲載しました。そこで紹介されたエチケット違反の行為は、やたらにゴミを捨てていく・文化財を傷つける・傍若無人な行為(鉄道で座席に横になる)などが挙げられ、礼儀正しい行為としては、観光客がちゃんとゴミ箱に捨てている(江西省)・並んで切符を買っている(湖北省)、靴を脱いでシートに座っている(天安門)などが写真つきで紹介されています。
政府は、旅行業者に対し客に対する教育を事前に徹底すること、一般海外旅行者・出張者・駐在者に対するエチケット教育の徹底と追跡管理を重要事項として掲げ、国内では飛行場・駅・ショッピングセンター・観光地など公共の場所でのマナーを重んじたサービスや管理を呼びかけ、各種パンフレットやポスターなどによる宣伝を強化し始めました。
議論は異文化への接し方にも広がっています。北京第2外国語学院の呂竜根氏は、「郷に入っては郷に随え」と孔子の「君子は和して同ぜず」を海外旅行の2大原則として説き、同じく韓玉霊氏は、「日本人が礼儀正しいのは“恥の文化”と関係がある」と指摘、中国人が一種の礼儀と考えている相手の年齢・収入・既婚か未婚かの問いが容易に誤解を招くことに注意を喚起しています(ともに人民日報2006.9.5と9.8)
2006年8月から始まった<中国国民旅行マナー向上運動>は、まさに国を挙げて取り組むべき当面の急務である、と認識されています。この運動がオリンピックまでの一過性に終わるのか、息の長い新文化運動になるのか、その行方にも大方の関心が集まっています。

三瀦先生のコラム