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 第267回 最近の環境政策を巡って−その2−

(2007年2月26日)

第6回全国環境保護大会で温家宝首相が示唆した4つの任務とは ①汚染対策の強化 ②自然生態保護の強化 ③経済構造の調整 ④環境科学技術と環境保護産業の発展 であり、8つの措置とは ①環境保護責任制の実施 ②汚染物排出総量規制制度の実施 ③建設プロジェクトに対する環境影響評価の強化 ④地域開発と生態環境保護の関係を調整する政策の策定 ⑤法による環境取り締まりの強化 ⑥市場メカニズムを活用した環境問題の解決 ⑦環境保護に対する財政投入 ⑧環境保護監督管理能力の強化 を指します。
中国では2003年から“緑色GDP”への取り組みが始まり、ここ2年ほどは具体的な計算方法に関する研究が進められていました(例えば広東省では2005年3月から取り組みが開始され、500社あまりの企業と2万軒あまりの家庭を対象に調査が行われました)。2006年9月にはこうした努力が実り、2004年を対象にした<中国緑色国民経済算定研究報告>が完成しました。それによると、「環境汚染による経済損失は5118億元(GDPの3.05%)で、そのうち水の汚染が55.9%・大気汚染が42.9%を占め、これを直接的に除去しようとすると2874億元(同1.80%)かかり、環境保護対策として取り組むには約1兆元(同6.8%)かかる」と推定されました。実際には2004年に投入された汚染対策費は1900億元で、必要額には遠く及ばなかったことも判明しました。
政府は第10次5カ年計画(2001〜2005)までで886の各種環境保護基準を公布し、第11次5カ年計画では更に1400近い基準が公布される予定ですが、上記の研究で改めて認識された深刻な水と大気の汚染の問題に政府は今どう取り組んでいるのでしょうか。2006年7月、政府は特に水汚染が重大な河北省など9つの省・自治区と、水汚染物総量削減目標責任書を取り交わし、3200あまりの重点汚染排出企業に対し常時監視を行い、5年間で化学的酸素放出量の10%以上の削減を義務付けました。これを受けて2006年秋、河南省環境保護部門は『千里眼』と呼ばれる『河流水質自動観測システム排水重点汚染源常時観測システム』を正式に採用、39箇所での24時間監視体制を実現しました。
水汚染に対する都市汚水の影響も深刻。政府は2010年には全国の都市汚水処理率を70%以上に、併せて生活ゴミ無害化処理率も60%以上にする、という目標を立てています。

三瀦先生のコラム